「オブジェクト設計スタイルガイド」は、オブジェクト指向プログラミング(OOP)の設計と実装におけるベストプラクティスを網羅した優れた書籍です。スタイルガイドという名前の通り、明日からすぐに実践できる内容であるため、オブジェクト指向の基礎を理解している開発者にとって有益な参考書です。
本セッションでは、まずオブジェクト指向設計の基本概念を確認し、その後に書籍の具体的なコーディングスタイルを紹介していきます。以下はテーマとコーディングスタイルのサンプルです(番号は書籍によるものです)。
・2.1 2種類のオブジェクト
→ サービス層とドメイン層の役割とその違い(オブジェクトを呼び出す側と呼び出される側)
・2.3 サービスロケータを注入するのではなく、必要なもの自体を注入する
→ 依存性注入(DI)
・4.1 エンティティ:変更を追跡し、イベントを記録する識別可能なオブジェクト
・4.2 バリューオブジェクト:置き換え可能、匿名、イミュータブルな値
→ エンティティとバリューオブジェクトの設計(ミュータブル/イミュータブルの設計指針を含む)
・6.7 クエリメソッドからはコマンドメソッドは呼び出さず、ほかのクエリメソッドのみを呼び出す
・7.5 情報を収集するためにクエリを使用し、その次のステップに進むためにコマンドを使用する
→ CQS(コマンドクエリ分離原則)の基本と実践
本セッションを通じて、開発者がOOPの原則を理解し、それを適切に活用する知識を提供することで設計力の向上を目指します。
なお、本発表は「軽量DDDはもういらない! スタイルガイド本で OOPの実装パターンを学ぼう」という発表を、より PHPer 向けに深掘りしたものです。
https://speakerdeck.com/panda_program/no-more-lightweight-ddd
モジュラーモノリスは近年、マイクロサービスの代替として注目を集めています。このトークでは前半で設計の話を、後半で開発の話をします。
私が所属するBASE社では10年以上モノリシックなサービスでの開発が続いていましたが、デプロイ時間の増加や依存関係の複雑さにより機能提供のスピードに課題が出てきました。その課題を解決するためにモジュラーモノリスの新システムへの移行が始まって丸4年が経過しました。
本トークでは、モジュラーモノリスの基本的な設計概念から、その実現する方法論、また実践例について解説します。モジュールはコアドメインとサブドメインの考え方に基づいて区切られており、各モジュールの中ではアプリケーション層とドメイン層が分かれており、UnitOfWork での永続化管理やドメインイベントを用いた実装が可能になっています。
また、モジュラーモノリスを選択した際の利点とトレードオフについても議論します。具体的には、テストのしやすさ、デプロイの単純化、チーム間のコミュニケーションの向上など、エンジニアリング全体に与える影響を掘り下げます。メリットは多くありますが、それでも生じる課題についても触れていきます。
このトークを通じて、モジュラーモノリスというアーキテクチャの現実的な価値を理解し、チームやプロジェクトの規模に適したアプローチを選ぶための指針を得られれば幸いです。
本セッションはPHPで計算機を自作します。環境構築からコード全体を解説します。
自分たちが使っているPHPのインタープリタとは何をしているのか、普段使っているPHPがいかに高度なことをしているのかを理解することが目的です。
本セッションは初中級者向けです。コードの記法などは解説致しません。計算機やプログラミングに興味があるが作り方が分からない方、PHPの内部実装の想像がつかない方を対象としています。
そのため、初心者でも理解しやすいように以下の工夫をします。
スタック型です
型をintegerとfloatに制限します
型キャストを使った明示的な型の管理を行います
逆ポーランド記法を使います
ユーザー定義関数を使いません
上記の特徴を持った言語を作ります。つまづきやすい、複数の型に対する演算の定義やASTを構築するタイプの言語における二項演算、ユーザー定義関数を意図的に避けています。
実装を解説し、ある程度計算機を理解したうえで、以下の話をします。
PHPがASTを構築し中間言語をVMで実行するタイプの言語であること、本セッションで実装した言語との違い。
通常の言語における二項演算の処理方法。式、文など。
ここまで作成した言語でHello,worldをする方法 (任意の要素を受け取れるprint文を作り、asciiとして解釈させる)
本セッションを通して視聴者は、計算機を構築するのに何が必要か理解し、自ら新しい計算機を作り出せるようになるでしょう!
近年、急速に"(コードの)質と(質の高さからくる開発)スピード"が注目されるようになってきました。
一方で「何故、"質とスピード"を求めるのか」に対するお話はあまり見かけません。
このトークでは「兵法」から見た「"ソースコードの質"や"開発スピード"は何のために必要なのか?」、「"ソースコードの質"や"開発スピード"は本当に必要なのか?」についてお話します。
日本でも著名な「孫子の兵法」から現代戦で重視される戦術論「リズムとテンポ」などの観点から「市場を支配するために必要な"質とスピード"」に迫ります。
このトークで得られる知見
1 あらためて考える「なぜ"質やスピード"が必要なのか」
2 "質やスピード"を求める場合の基準
3 組織人として組織を持続可能にするために考える事
このトークで話さない事
1 孫子の兵法をはじめとした戦略論・戦術論の詳解
何らかの技術の理解を深めるのに最も適した方法は、その技術のサブセットを自分で実装することです。
PHP、ひいてはプログラミング言語というものを理解するために、PHP で PHP のサブセットを実装しましょう。
プログラミング言語処理系における「セルフホスト」とは、その処理系のソースコードをその処理系自身が処理できることを指します。つまり、今回作るPHP処理系の上でそのPHP処理系を動かすことを目指します。
PHP で書く PHP 処理系(のサブセット)の作り方
必要なソースコードはすべて公開され、このトークを聞かれた方が同じものを作成できるように構成します。
実際の PHP 処理系 (php-src) の実装方法に近づけることは目指していません。説明のしやすさや実装の容易さを考慮し、適宜アプローチは変更します。PHP 処理系へのコントリビュート等を目標としたものではありません。
Laravel Wayを拡張し、あなた自身のLaravel体験を作る。
2年前、私は「Laravelへの異常な愛情」と題し、Laravelの基礎的な考え方と、そのレールがもたらす開発上の効果を紹介しました。
Laravelの「レール」は開発の効率化やコードベースの統一性を提供する一方、設計の柔軟性を制約することもあります。
本セッションでは、そうした制約を越え、Laravelの可能性を拡張する手法を紹介します。
Laravelを深く知り、より素晴らしいアプリケーション作りましょう。
エンジニアとして始めると必ず知る概念、それが「デザインパターン」です(諸説あり)。
私は新卒の頃、輪読会としてデザインパターンの本を読みました。そして、その知識を持て余したものです。
”デザインパターンを勉強しよう”で知ったデザインパターンは、その適用に失敗することの方が多いように感じます。
「道具として自然に出てくること」が大事であること、そして「道具としてもう使われないものもあること」を認識するのが大切です。
普段使用するフレームワークやライブラリに出てくるデザインパターンを参考に、今でもよく使われるデザインパターンを紹介していきます。
話すこと
・デザインパターンとの向き合い方(共通言語として”デザインパターン”を知っておく)
・フレームワークやライブラリに出てくるデザインパターン
・好んで使わないデザインパターン
※GoFのデザインパターンのことを指します。