masayasu-sano 「自律自走型組織」は理想ですが、単に自由を与えるだけの「甘い自走」は、責任の不明確さや意思決定の停滞といった構造的な問題を引き起こし、最終的にチームの生産性を低下させ、事業の足を引っ張ります。
私自身、この「甘い自走」の失敗により、組織の士気と成果が著しく悪化する危機を経験しました。
その経験から得た最大の教訓は、「自律とは自由ではなく、EMが設計する明確な枠組みと責任がセットで存在して初めて成立する」という真実です。
今回は、この「甘い自走」を捨て、自律型組織を再構築するために組織に導入した独自のマネジメントポリシーをお話しします。
様々な試行錯誤の上での取り組みがもたらした、市場投入速度の向上や開発コスト削減といった具体的な事業成果、そして現場での実践方法を、痛みを伴う失敗例を交えてお話しします。
対象の聴衆
聴衆が得られるもの
ntk1000 開発者体験(DevEx)の改善は、組織の生産性向上に直結する重要な取り組みです。
しかし、現場の声を拾うボトムアップだけでも、経営層からのトップダウンだけでも、持続しません。
本セッションでは、DX(getDX)を活用した四半期ごとのSurvey(参加率ほぼ100%)を基盤に、エンジニア組織全体で取り組む改善サイクルの構築に挑戦している実践例を紹介します。
一部で成功事例は生まれたものの、全社としての改善はまだ道半ば。
「改善サイクルの定着」と「文化づくり」にフォーカスし、持続的な生産性向上につなげることを目指しています。
データ、成功事例、失敗談、そして試行錯誤の生の姿を率直に共有します。
対象:
得られるもの:
◾️Summary
本トークでは、私がグローバルチームをリードするうえで大切にしてきた視点と、そのプロセスを取りまとめ、
「グローバルを前提としたチームをどのように導き、組織としてのアウトプットをどのように高めていったのか」というテーマを中心にお話しします。
扱うのは特定の理論ではなく、チームの思考や対話の流れが整い、理解と協働が累積していくような“組織の下層構造”をどのように形づくるかという視点です。
リードとしてその流れを支え、チームで育てていったかを共有したいと思っています。
◾️Why
<なぜこのトークを行いたいと思ったか>
グローバルチームを率いるというと、特別な経験や高度なスキルが必要だと捉えられがちです。
しかし私自身、留学や英語圏で在住する経験が特にないですが、グローバルチームのリードを担っています。
実際にチームと向き合う中で強く感じたのは、チームが力を発揮する鍵は、“語学力”や“海外での過ごし方”よりも、組織としての理解と関係性の土台を整えていくことにあるという点でした。
土台が整っていけば、多様なメンバーは自然と協働し、チームとしての動きが育っていきます。これは特定の経歴や能力に依存するものではなく、誰にとっても再現可能な導き方だと感じています。
だからこそ、留学経験がなくても、英語が得意でない方、社会に出てから興味を持ち始めた人でも、グローバルな環境を率いることは十分に可能であるということを伝えたいと思いました。
多様なメンバーと向き合いながらチームを導く人、これからその一歩を踏み出そうとする方に向けて、私が実際に行ってきたリードの視点を共有したいと考えています。
◾️Learning Outcome
<このプロポーザルを聴いてほしい方>
・海外経験があってもなくても、グローバルや多文化チームを率いたい人
・言語・文化の違いでチームの足並みが揃わず困っているEM / リード
・“自走するチーム”の作り方を抽象原則として学びたい人
<得られるもの>
・「経験の差」ではなく「構造」でチームは変わるという視点
・非同期 × 多拠点でも機能するコミュニケーション
・チームが自ら学び、挑戦し、成長し続けるための“越境デザイン”の考え方
・個人の行動をチーム文化へ広げるための、定着・巻き込みのアプローチ
こにふぁー 私は物事を前に進める上で、 "提案のレベル" を強く意識しています。
ref: https://speakerdeck.com/konifar/ti-an-noreberuwoshang-geru-number-qiitaconference
メンバーからマネージャーに役割が変わると自分が思い描く動き方ができず、まるで "提案のレベル" がリセットされてしまったように感じるかもしれません。
実際には、これまで培ってきた "提案のレベル" 自体はリセットされたわけではありません。マネージャーとしてのレベルをまた上げていけばよいのです。
このトークでは、自分自身が2021年に VP of Engineering を担って「提案レベル0で全然物事をよくできていない...」と思い悩んだところから4年ほど試行錯誤してきた経験から、マネージャー版の "提案のレベル" の上げ方を話していきます。
次のような内容を盛り込んでお話しする予定です。
ぎーにょ 組織の成長は、メンバー一人ひとりが「ストレッチゾーン」で挑戦し続けることで生まれます。これは多くのマネジメント理論や、目標管理手法の代表格であるOKRでも示されている考え方です。
一方、「ストレッチゾーンに挑戦し続ける」ことには、様々な難しさが伴います。
例えば、メンバーに「成果を出してほしい」「チームをリードしてほしい」と期待を伝えても、本人がそれを適切な目標として設定できずに悩む、といったことはないでしょうか。
また、わかりやすく「ストレッチ」な技術的難易度や規模のプロジェクトが常に存在するとも限りません。多くの時間は、ユーザーから見えない部分も含めた地味なプロダクトの改善の積み重ねです。
Sansanの300人を超えるエンジニア部門の中で、私はモバイルエンジニア部署のミドルマネージャーとしてこのような難しさに向き合ってきました。
上記に加え、モバイルアプリエンジニアは技術スタックや役割が限定されがちな事などから、キャリアの「ストレッチ」が難しいという構造的な課題を抱えていました。
その結果、シニア層の離職が続く時期もありました。
このような状況下でシステム思考の実践や1on1、チームトポロジーの実装などの試行錯誤を重ね、自部署のエンジニアが『ストレッチゾーン』のチャレンジに挑み続けられるような環境に近づけていきました。
この取り組みの後押しもあってか、メンバーのエンゲージメントが向上し、最終的に離職率を半減させることができました。
ストレッチな取り組みを日常に織り込み、継続できるような取り組みを戦略的に行うことは、メンバーや組織の成長には必要不可欠です。
本セッションでは、私がEMとしてこの問題に取り組んだ経験をもとに、「挑戦が続く組織」をつくるための考え方や知見をお話しします。
対象の聴衆
その人たちが得られるもの
mitsui 入社後しばらくして、所属していたチームにてPdMと主力エンジニアが短期間で離れる出来事が続き、経験の浅いメンバー中心の体制になっていました。扱っているドメインもコードも難易度が高く、「チームを安定させること」が最初の課題でした。私は外圧を整理し、やることを絞り、問い合わせ対応も含めて一緒に状況を確認しながら進めるなど、「守る」ことに振り切りました。その結果少しずつ不安は減り、チームは安定し、連携も強くなっていきました。
その後、短期での成果が必須となる新規プロダクトを担当することになりました。期限は動かず、不確実性も高い。このタイミングで初めて、「このまま守り中心のままでは事業の期待に間に合わない」と自覚しました。判断が遅れるほどリスクが増える状況だったため、技術判断や優先度判断を自分が一時的に引き受け、プロセスも短いサイクルのカンバン運用へ切り替えました。これはプレイングに戻るというより、プロジェクト全体の不確実性を下げ、チームが動きやすい環境をつくるための“介入”でした。
結果としてプロジェクトは期限に間に合い、チームも状況を理解したうえで前に進むことができました。この経験から、「守る/推進」はどちらが正しいかを選ぶ話ではなく、状況に応じて切り替えるモードだと捉えるようになりました。事業とチームの両方を見て意思決定する視点が、自分にとって大きな転換点になりました。本セッションでは、このモード切替の背景と判断基準、実際に行った介入のプロセスを共有します。
■Structure of the Talk
守りに振り切らざるを得なかった背景と当時のチーム状況
守りフェーズで実際に行ったこと(外圧整理、モブプロ、対話など)
異動した先は「短期成果が必須な新規プロジェクト」
EMが一時的に介入すると判断した理由と、判断のオーナーシップを持つ動き方
スクラムの形式にこだわらず、短サイクルのカンバンに切り替えたプロセス設計
結果として何が起きたかと、「守る/推進」はモード切替だと捉え直した学び
■Learning Outcomes
「守るだけ」のマネジメントがどこで限界にぶつかるかを理解できる
守り/推進を切り替えるべき局面を見極めるための判断基準を学べる
事業とチームの両方を見ながら、EMがどう介入すべきかの具体的なイメージを持ち帰れる
西尾健人 GENDAは「2040年世界一のエンタメ企業に」をVisionに掲げ、積極的なM&Aを成長戦略の柱としており、2023年7月の上場以降、累計で約40件のM&Aを実施しています。その裏側では、グループイン後の企業統合(PMI)を担える人材が継続的に求められています。しかしPMIは、技術・事業・組織文化が複雑に絡むため属人化しやすい領域です。そこで私は、グループ企業であるカラオケ事業に出向してテクノロジーを中心としたPMIの現場で得た経験をもとに、若手エンジニアをテクノロジーPMI人材へ育てるための再現性ある育成モデルを設計しています。
中心となるのは4つの実践です。第一に、重要会議への早期同席です。グループインした企業の経営会議、技術・DXロードマップ策定、各種ベンダー商談など、通常は若手が関わらない場を開放し、会議の目的共有・議事録作成・事後振り返りをセットで行うことで、意思決定の基準や背景を深く理解してもらいます。
第二に、小規模な組織から始める人員マネジメントです。小規模なプロジェクトのリードを担ってもらうことで、チームのマネジメントや計画・調整・レビューを体験してもらい、「他者と共同して最大限のアウトプットを出す力」を段階的に身につけてもらいます。
第三に、日常の対話を通した組織力学の実地学習です。PMIでは、キーマンの影響力や文化摩擦といった“組織の本音”が結果を左右します。業務外の日々のコミニュケーションにも同席してもらい、会議では見えない統合の本質をWetなコミュニケーションを通して経験してもらいます。
第四に、1on1による継続的な言語化と抽象化です。現場で得た経験を定期的に振り返り、学びを自分の言葉で整理し、次の行動に繋げることで、経験を再現可能な知識へ変換する習慣を育てます。
これらを組み合わせることで、GENDAにジョインしてすぐの段階から技術・事業・組織を横断し、PMIの推進ができるテクノロジー人材となることを目指します。
daitasu 「このタスク、自分でやった方が早い」そう思いながらも、メンバーに任せられず抱え込んでしまう。あるいは「この組織課題、誰がいつ解決するんだ?」と思いながら、上にも横にも動かせず立ち往生する。
EMとして、こんな経験はありませんか?
自チームにおける、開発生産性をいかに最大化するか、ロードマップの遂行、メンバーの成長育成、多職種との連携改善。
開発組織全体での、開発組織の体制整備、プロダクトと事業計画のアライン、開発予算の策定、採用計画から評価制度の継続的改善。
EMとして向き合う課題は多く、組織をスケールさせていくためには、権限移譲が不可欠です。
より大きな組織課題を解決しようとすると、VPoEやCTOといった経営層が持つ責務範囲を剥がさないといけない時もあります。一方で、そうした課題を持とうとするほど、自分自身の責務も誰かへ渡していかないといけません。
このセッションでは、組織課題を推進していくための、1人のEMとしての権限移譲の「する側」と「される側」への向き合い方についてお話します。
具体的には、現職でEM全体での組織課題の洗い出しと委員会制度の構築を通じて、採用・広報・評価制度などの改善を加速させた事例をご紹介します。
各委員会はVPoE/CTOと連携しながら、経営層が持つ責任領域の一部を引き取る仕組みです。
一方、より大きな組織課題に取り組むほど自分のキャパシティは限界を迎えます。
そこで自チームでは、OKRベースの目標設定とミッション展開、様々なフレームワークを用いた責務範囲の明確化や意思決定フローの統一を図り、「自己組織化」に取り組んできました。
権限移譲のする側・される側の両面から、EMとして組織を動かすアプローチをお話しします。
対象聴衆:
このセッションで得られるもの:
山元亮典 組織は突然壊れるように見えますが、実際には静かなズレが積み重なり、外部環境の変化や内部の負荷によって一気に表面化します。私はこれまでに2度の組織崩壊を経験しました。1度目はメンバーとして、25名の会社が翌月16名へ縮小する現場に立ち会い、期待役割の曖昧さや採用基準の揺れが組織を不安定にするプロセスを体感しました。
2度目は開発部門の責任者として、より大規模な構造的揺らぎに直面します。外部環境による事業の見直し、急成長期特有の役割・権限設計の不整合、そして組織が大きくなるにつれて起こりやすい認識ギャップの増幅が集積し、結果として約60名の組織が30名規模へ縮小する変化を経験しました。これは特定の誰かの問題ではなく、成長企業で広く起こり得る構造的課題です。
再建の転換点となったのは、制度の刷新よりもコミュニケーションの再設計でした。1on1・定例・意思決定プロセスの透明化、違和感を安全に共有できる場づくりなど、対話の質と量を変える取り組みが組織の再生を後押ししました。また混乱期には「頭では理解しているのに心がついてこない」瞬間が訪れます。その時に私を支えたのは、正解探しより本音で対話し続ける姿勢でした。
本トークでは、崩壊の予兆、構造的要因、再生プロセス、そして混乱期の心の扱い方まで、普遍的に応用できる組織を立て直す技術を共有します。
静かに進行する組織崩壊
メンバーとして体験した初期崩壊(25名→16名)
責任者として直面した大規模な揺らぎ(60名→30名)
再生の鍵──コミュニケーションの再設計
混乱期のリーダーシップと心の扱い方
再生後の“強い組織”が持つ特徴
スタートアップ/成長企業の経営者・VPoE・EM
組織が縮小フェーズに入り不安がある責任者
混乱期で心が揺れているマネージャー
成長企業で起こりがちな役割・権限設計の落とし穴
規模拡大と認識ギャップが引き起こす構造課題
リーダーの心が揺れる時のメンタルマネジメント
崩壊後の再生プロセスと、強い組織に共通する特徴