2023年1月に VP of Enginnering というロールを引き受けた時、経営/プロダクトともに難しい状況下にあり、エンジニアも5人退職することが決まっていました。
そのようなサバイバルモード状態から今まで、事業や組織に対してやっていったこと、うまくいったこと/いかなかったことを振り返ります。
どちらかというとうまくいかなかったことの方が多く、かつ実は今もまだサバイバルモードから完全に脱しているかというと怪しいところではありますが、少しずつ少しずつよい方向に進めてきています。
この発表では、本やブログではあまり聞けないような厳しい状況下でのエンジニアリングマネジメントを、なるべく疑似体験できるように話していきます。
自分自身の振り返りの機会にすることはもちろん、皆さんが今後同じような状況になった場合にどうするか想像しながら聞いてもらい、血肉としていただけるような内容を目指します。
以下のような内容を盛り込んでお話する予定です。
従業員数約1000人/売上高100億円程度だった頃に入社した企業が、グループ連結で従業員数約1.4万人/売上高1100億円を超えるまでに成長。
領域もソフトウェアテストと品質保証だけだったところから、開発、ERP、セキュリティへと広げてきました。
このセッションでは、その激動の渦中に7年間いた自分が、VPoEになるまでの歴史とこれから挑戦したいことについて語ります。
段階的に多くのエンジニアを配下に抱えるにつれて、エンジニアのキャリアを支援する方法を考え、エンジニアが輝ける制度の設計をするようになりました。
現在、私の企業ではこれらが実現しています。
・スキル/成果重視の絶対評価制度
・年間昇給率平均11%
・年間2000人の採用と退職率6%
・職級の細分化と定義の整備
・キャリアマップ
・フェロー制度
・検定/研修/勉強会/イベント
これらの詳細とその効果を共有します。
そして次に挑戦しようと思っていることは、活躍するエンジニアに提供する新しいポジションの設定です。「スタッフエンジニア」などを参考に、考えられるポジションをアメリカの事例などを元に洗い出し、まだ構想段階の内容を紹介することで、参加者とのディスカッションへ繋げられれば幸いです。
『エンジニアのキャリアパス。管理者以外の選択肢をつくる意義』
https://recruit.shiftinc.jp/career/library/id1295/
『トップエンジニアが輝ける制度の導入と障壁(エンジニア組織の未来 vol.1) 』
https://recruit.shiftinc.jp/career/library/id1343/
https://www.youtube.com/watch?v=m6oPRUwON_Q
エンジニアリングマネージャー(以下EM)の役割は、自チームの成果を最大化するだけでなく、他チームの成果にも貢献することです。EMのアウトプットは、「自チームのアウトプット+影響を与えた他チームのアウトプット」と言って良いでしょう。これを最大化するためには、適切な権限委譲とマネジメント範囲のコントロールが不可欠です。
しかし、多くの組織ではチーム横断的な意思決定が後回しになり、チーム内課題に注力しがちです。結果、チーム間の局所最適化・CxO/VPoEなど上層部の意図とEM間の認識ズレ・EM間のサイロ化などの問題が生じます。
これらの課題に対応するため、我々の会社では「エンジニアリングマネジメント部」を組成しました。従来の階層型組織構造から脱却し、より柔軟で効果的な「共創型リーダーシップ」を採用しています。各EMが組織全体の戦略立案と実行に積極的に参加し、相互に影響を与え合いながら意思決定を行います。
このあり方は以下の特徴があります
・権限の分散: 各EMに重要な決定権を委譲し、状況に応じ委譲のレベルを調整
・集団的意思決定: 最終判断はEM全員とVPoEの合意で形成
・戦略的一体感: 全社の方針と各チームの活動の整合性を確保
・フラットなマネジメント組織構造: 従来の階層を緩和し、柔軟な連携を促進
個々のEMのビジョンや専門知識が組織変革の触媒となり、全員で議論を重ね、そのアイデアがさらに磨かれ、増幅されます。各EMの独自の視点が、組織全体のイノベーションと成長を加速させる原動力となるのです。
本セッションでは、我々の会社のマネジメント・組織体制の変遷を紹介しながら、現在の組織のあり方について説明します。また、この取り組みによる成功事例と直面した課題、そしてその解決策についても共有します。
対象聴衆
・広い影響力を持つEMを目指す方
・マネージャー層育成に課題を感じるEM
・EM中心の組織設計に興味がある方
・サイロ化や局所最適化に直面している方
・チーム間連携強化を目指す方
得られる学び
・広範囲なEMへの成長プロセスと必要スキル
・EM中心の組織設計の実践例と導入プロセス
・チーム間連携強化とサイロ化防止の具体策
・CxOの意思決定とEMの実行をつなぐ効果的方法やアイディア
こんにちは、新米VPoEです。
エンジニアリングをマネジメントする立場として、技術そのもの、あるいはチームやメンバーを向いた方法不確実性に向き合っていくだけでなく、経営との対話を通じた技術組織の価値を最大化するための目的不確実性に対して解を探し、戦略を立てていくことも重要です。
方法不確実性が指す技術戦略には、技術ロードマップや負債管理などテクニカルなもの、プロダクト戦略やバリューストリームなどユーザー価値にフォーカスしたもの、従業員エンゲージメントや採用プレゼンスなど組織的なもの、などが複雑に関連します。目的不確実性は、それらの戦略をなぜ志向するのか、どういった効果を狙うのかに関する説明責任などを指します。
その際、ハーバードビジネススクールで提唱された「バリューベース戦略」の考え方に基づき、開発組織が出す価値の最大化を目指し、組織全体のエンジニアリング価値を黒字化する戦略フレームワークに基づいた戦略の立て方について紹介します。
また、弊組織においてその戦略を適用させてきた実践過程について紹介します。
エンジニアリングにおける開発生産性の追求から始まり、事業価値、そしてその先の社会的価値(インパクト)への思いを馳せながら、インパクトスタートアップにおける価値創造のプロセスと、それを支えるエンジニアリング組織の文化醸成について、具体的な実践知を共有します。
① 事業軸
② 技術軸
③ 組織軸