tsuyoyo 組織の成長に伴い、チームメンバーが (時にはEM自身も...!!)「なんのためにこのタスクをやっているのか?」という目的を見失いがちになる問題は、Engineering Managerにとって避けて通れない課題です。OKRのような目標管理フレームワークがあっても、目標を考えるマネジメント側と、それを実行するメンバー側の間に"ねじれ"が生じ、結果として目標は未達に終わるケースが多々あります。私 (発表者) 自身、この課題に両側から向き合い、目標管理とタスク管理をシームレスに連携させる実践的なアプローチを模索してきました。
本トークでは、そのアプローチのアイデアと、実践から得られた成功事例と失敗事例の2つのケーススタディを詳細に共有します。全社開発基盤チームにおける目標設定(OKR)とNotionを活用した階層的なタスク可視化による成功例、および、グローバルサービス統合時の目標・タスク管理システムの情報の分断と複雑化による失敗例を取り上げます。
これらの実例を通して、目標管理とタスク管理を連携させるアイデア、ブレイクダウンの粒度やAI活用、異なる組織を跨ぐ管理など、目標と実行のギャップを少しでも緩和するための具体的な実践的Tipsを皆さんに共有します。
[Target Audiences]
[Audiencesが得られるもの]
オダジョー エンジニアリングマネージャー(EM)としての1年目、私は「EMとして成果を出す」ことの難しさに直面しました。
メンバー育成や採用、チーム文化の醸成など、マネージャーとして取り組むべき課題は多岐にわたります。しかし、これまでエンジニアとして培ってきた「自分で実装して貢献する」という感覚から抜け出せず、つい自分でやった方が早いのではないかという誘惑に何度も悩まされました。
特にAI駆動開発の進化により、個人のアウトプットが飛躍的に向上した状況では、EMとしての自分の役割や価値を改めて問い直す必要がありました。
2年目に入ると、チームが成熟していく中で大きな気づきがありました。それは「任せる」ことの本当の意味です。
1年目はメンバー一人ひとりに密接に関わることが多く、成果も自分が関わった範囲に依存していました。しかし2年目では、成果を最大化するには「個人に頼らず、チームが自走できる仕組みを作ること」が重要であることに改めて気づきました。
意思決定の支援やプロセス設計、ナレッジの共有、メンバーが自ら学び考える文化の醸成――こうした仕組みを整えることがチーム全体として安定的に成果を出すことに繋がり、マネージャーとしての働き方が大きく変わりました。
このセッションでは、EMとしての1年目の葛藤と2年目の学びを振り返り、駆け出しEMが直面した壁に共感しつつ、そこを乗り越えてきた経験を共有します。そして、3年目に向けて求められる“より上位の視座”への意識変化にも触れ、EMとして成長し続けるための次のステップを考えるきっかけを提供します。これからEMを目指す方や、なりたての方にとって、実体験に基づいた学びと共感が得られる内容です。
ぷーじ 「マネージャーになったら、もうコードは書けないのだろうか?」
多くのエンジニアがキャリアのどこかで直面するこの問いに、私も例外なく向き合っていました。
5年以上もの間、開発の最前線から離れ、マネジメントに専念する日々。「もう一度、あの頃のように開発することはできないのかもしれない」そんな葛藤が、私の心を支配していました。若く優秀なエンジニアたちの熱量に圧倒され、積み上げてきたはずの経験が色褪せて見える毎日。
しかし、AIの登場がその状況を一変させます。過去のマネジメント経験が、このAI時代を生き抜く大きな強みになると気づかされたのです。
チームの課題を構造化し、プロダクトを俯瞰的に見てきた経験は、AIという強力な相棒に的確な指示を与える「触媒」となりました。そして、AIはその能力を何倍にも「増幅」し、私を5年以上の技術的ブランクから解放してくれたのです。
本セッションでは、私が絶望の淵から再び開発の楽しさを取り戻すまでの、リアルで泥臭い物語のすべてを共有します。具体的なAI活用テクニックはもちろんのこと、ブランクへの不安といかに向き合い、過去の経験をどう未来の力に変えていったのか。
このトークが、キャリアの岐路に立ち、見えない不安と戦う全てのエンジニアにとって、自身の可能性を再発見し、次の一歩を踏み出すための光明となることを願っています。
だいくしー EM Conf 2025で、新任マネージャーとしてパラシュートで現場に降りていくときのふるまいについてお話をしました。このトークでは、パラシュート人事によって降下していくマネージャーをまるで「恐怖の大王」のようだと表現しました。
https://speakerdeck.com/daiksy/emconfjp2025
今回は、パラシュート人事を受け入れる側のマネージャーの視点で強い組織はなにかを考えます。
パラシュート人事によって組織が混乱した経験を持つ人はそれなりにいらっしゃると思います。できれば避けたいことですし、恐怖の大王サイドにも配属先の現場を尊重するふるまいを期待したいとは思います。一方で、急激な市場の変化に対応するための経営判断として、大きな素早い方針転換が必要なケースもあります。その場合、前任者とはまったく異なるビジョンを持ったマネージャーに対して、既存のチームの仕事や方針が、新しいマネージャーにとっても価値があることを説明し、アラインメントしてチームの混乱を最小限に留めるのも中間管理職の重要な仕事です。
前任者とまったく正反対の方針を持つ「恐怖の大王」をマネージャーとして迎え入れたとしても、もともとのチームに明確なビジョンと価値創出に自信を持ち、新しい方針の下で変わらず価値が出せる。これができる組織は相当強い組織であると言えるのではないでしょうか。
チームが成果を出すためには、現場とマネージャーがお互いに協力しあい、てこの作用を生じさせる必要があります。そのためには、現場がマネージャーを支え、フォロワーシップを持つことも重要です。
このトークでは、「恐怖の大王」をうまく迎え入れ、価値を出すマネージャーのふるまいについて考え、どうすればうまくいくか。逆に、それでもうまくいかないケースはどういうときか。これらを考えてみたいと思います。
いくお エンジニアリングマネージャーという役割は、チームの成果と個人の感情の両方を背負う立場です。技術的負債や方針転換への苛立ち、板挟みのストレス、成果への過剰な責任感——その背後にある「怒り」と「ストレス」は表裏一体の関係にあります。私自身、ストレスにさらされる中で強い怒りを感じたり、時には「もうどうなってもいいや」と燃え尽きてしまいそうになることさえありました。
それでもまだ、今、私はここに立っています。
それは、今ふりかえってみるとストレスや怒りを「なかったこと」にせず、向き合い対処してきたから、燃え尽きることなく、レジリエンスを獲得し、今ここにいられるのだと感じています。
本セッションでは、そんな自分の経験と、ストレス・アンガーマネジメントに役立った心理学的視点を交えながら、マネージャーが自分の感情をメタ的に捉え、しなやかに整えるためのヒントを紹介します。
怒りの感情を短期的にコントロールする「アンガーマネジメント」と、心身を長期的に整える「ストレスマネジメント」を統合し、「ゴキゲンでいる力=レジリエンス」を育むため、私が取り組んできたこと・学んだことを中心に紹介します。具体的には、期待のギャップや完璧主義、社内政治など、現場で起こりやすいストレス要因を可視化してきます。ABC理論を援用し自分の感情の根幹にある価値観と向き合ったり、コーピングで行き場のない感情をうまくやりすごしたり、リフレーミングでストレスを自分のエネルギーへと変換していったり。
「ゴキゲンさ」は単なる楽観ではなく、心理的安全性と創造性を支える基盤です。感情の伝染がチームに及ぼす影響を理解し、自らの整え方を身につけることは、チームの健全性を守るマネジメントスキルの一部です。
心が折れそうなときにこそ、しなやかに立ち上がる力を。EM自身のウェルビーイングを支える内省の時間を、このセッションで共有します。