2025年もプログラミングに関して様々な変化・発展がありました。
その最たるものは、AIエージェントによるコーディングが導入されたことであるというのはもう論を待たないでしょう。
Clineに全部賭けたくなったのも束の間、Cursor/Devin/Claude Codeなどなど百花繚乱のコーディングエージェントたちの新時代、我々プログラマもこれらコーディングエージェントをどれだけ使いこなすかが業務において重要なファクターになってきました。
コーディングエージェントに代表されるAIがコードを書くとき、その良し悪しは誰が決めるのでしょうか。
AIがコードを量産するおかげで人間がレビューする負荷が上がったという声もよく聞かれます。この意見には、暗黙のうちにコードの良し悪しを判断するのは人間であるという仮定が含まれていますが、この仮定は今後も置き続けてよいものなのでしょうか。
AI時代に良いコードと呼ばれるものはどんなものなのか、私はそのヒントがソフトウェア開発の歴史の中にあると考えています。
Perlの作者であるLarry Wallは元々は言語学を学んでおり、様々な言語での詩などにも深い知識を持っていました。彼はそういったバックグラウンドがPerlという言語の設計に影響を及ぼしたと言及しています。
プログラミング言語はたまたま機械が解釈できますが、言語である以上は人間が扱う言語の制約や可能性を受け継いでいます。生成AIの結果としてコーディングエージェントが出現したのも当然の成行きなのです。
本講演では、Perlをはじめとしてそこに強い影響を受けたRubyや、さらに先達であるLispやSchemeなど様々なプログラミング言語を取り上げながら、AI時代である現代において「良いコード」とはどんなものなのかを考察し、私の考えを示します。