CRE からテックリードへ ― 運用業務が導いたキャリアパス by miyamu

YAPC::Fukuoka 2025
トーク(20分)

CRE からテックリードへ ― 運用業務が導いたキャリアパス

KoyoMiyamura miyamu KoyoMiyamura
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皆さんは CRE (Customer Reliability Engineering) という職種をご存知でしょうか?
CRE は 2016 年に Google が提唱した、顧客の信頼性をエンジニアリングする職種です。

さて4年前、私は保守・運用チームの一員として、主にカスタマーサポートからの問い合わせを対応しつつ、並行して改善・障害対応・技術的負債解消などを行っていました。
このチームは重要であるがエンジニアのモチベーションが上がりにくいという慢性的な課題を抱えていました。そこで私はこのチームの役割を単なる保守・運用ではなく CRE と定義し、さまざまな工夫を行ってきました。
例えば、以下のように攻めと守りの運用を定義し、攻めの割合を増やす、といった工夫です。

  • 攻めの運用: 将来顕在化する見込みのある運用上の問題に対し、発生前に先んじて対応を行うもの
  • 守りの運用: すでに運用上の課題が発生しており、期限内に対応が求められるもの

このような工夫を続け、顧客信頼性を真剣に考えた結果、いつしかプロダクト全体の技術的課題について取り組むようになりました。
そして私は現在、テックリードとしてプロダクトの技術的課題の解決に取り組んでいます。

本セッションでは、まだあまり知られていない CRE という職種から、テックリードへのキャリア変遷の実例と、その経験がどのように活かされているかをお話しします。

本セッションを通じて、日々の保守・運用業務に従事されているすべてのエンジニアに、その経験こそが将来のテクニカルエキスパートへの礎となることをお伝えしたいと思います。一見地味に見える運用業務の中にも、プロダクト全体を深く理解し、技術的課題を発見・解決する力を育む機会が溢れています。
本セッションが終わる頃には、明日からの運用業務が、きっと違った景色に見えてくるでしょう。