阿部信介 ALGO ARTISでは、2025年の中期計画を契機に、職能別の体制からインダストリーごとに価値探索を行う体制へと再編を進めました。
創業以降、受託というスタイルで多様な案件を経験してきた中で、インダストリー単位での知識蓄積とプロダクト化を中心とする価値創出が組織の成長に不可欠だと判断したためです。
しかし、この再編はメンバーの考え方そのものの変化を要求する部分もあります。体制を変えるだけでは人は動きません。私はこの再編の初期フェーズで、「制度を整える」よりも「コンセプトへの共鳴をデザインする」ことに注力しました。
中期計画のコンセプトを全員が自分の言葉で語れるよう、リード層キックオフや1on1を通じて理解と納得を醸成。
そのうえで、横断支援チームに実務・制度・採用などの整備を集約して段階的にカバーすることで、インダストリー戦略への取り組みに集中しつつ新体制を安定的にスタートできるようにしました。
本セッションでは、制度設計を“後から追いつかせる”というアプローチで、
変化の初動を支えた「共鳴構造のデザイン」と「触媒としての関わり方」を具体的に紹介します。
共鳴から始め、制度へと進化させる──組織の成熟を見据えたデザインの実践です。
■Learning Outcome(得られるもの)
■Learning Outcome(対象者)
■キーワード
共鳴構造 / 組織再編 / 横断支援 / 触媒型リーダーシップ / 制度設計 / 中期計画 / エンジニアリング組織の成熟
tsuyoyo 組織の成長に伴い、チームメンバーが (時にはEM自身も...!!)「なんのためにこのタスクをやっているのか?」という目的を見失いがちになる問題は、Engineering Managerにとって避けて通れない課題です。OKRのような目標管理フレームワークがあっても、目標を考えるマネジメント側と、それを実行するメンバー側の間に"ねじれ"が生じ、結果として目標は未達に終わるケースが多々あります。私 (発表者) 自身、この課題に両側から向き合い、目標管理とタスク管理をシームレスに連携させる実践的なアプローチを模索してきました。
本トークでは、そのアプローチのアイデアと、実践から得られた成功事例と失敗事例の2つのケーススタディを詳細に共有します。全社開発基盤チームにおける目標設定(OKR)とNotionを活用した階層的なタスク可視化による成功例、および、グローバルサービス統合時の目標・タスク管理システムの情報の分断と複雑化による失敗例を取り上げます。
これらの実例を通して、目標管理とタスク管理を連携させるアイデア、ブレイクダウンの粒度やAI活用、異なる組織を跨ぐ管理など、目標と実行のギャップを少しでも緩和するための具体的な実践的Tipsを皆さんに共有します。
[Target Audiences]
[Audiencesが得られるもの]
ぷーじ 「マネージャーになったら、もうコードは書けないのだろうか?」
多くのエンジニアがキャリアのどこかで直面するこの問いに、私も例外なく向き合っていました。
5年以上もの間、開発の最前線から離れ、マネジメントに専念する日々。「もう一度、あの頃のように開発することはできないのかもしれない」そんな葛藤が、私の心を支配していました。若く優秀なエンジニアたちの熱量に圧倒され、積み上げてきたはずの経験が色褪せて見える毎日。
しかし、AIの登場がその状況を一変させます。過去のマネジメント経験が、このAI時代を生き抜く大きな強みになると気づかされたのです。
チームの課題を構造化し、プロダクトを俯瞰的に見てきた経験は、AIという強力な相棒に的確な指示を与える「触媒」となりました。そして、AIはその能力を何倍にも「増幅」し、私を5年以上の技術的ブランクから解放してくれたのです。
本セッションでは、私が絶望の淵から再び開発の楽しさを取り戻すまでの、リアルで泥臭い物語のすべてを共有します。具体的なAI活用テクニックはもちろんのこと、ブランクへの不安といかに向き合い、過去の経験をどう未来の力に変えていったのか。
このトークが、キャリアの岐路に立ち、見えない不安と戦う全てのエンジニアにとって、自身の可能性を再発見し、次の一歩を踏み出すための光明となることを願っています。
いくお エンジニアリングマネージャーという役割は、チームの成果と個人の感情の両方を背負う立場です。技術的負債や方針転換への苛立ち、板挟みのストレス、成果への過剰な責任感——その背後にある「怒り」と「ストレス」は表裏一体の関係にあります。私自身、ストレスにさらされる中で強い怒りを感じたり、時には「もうどうなってもいいや」と燃え尽きてしまいそうになることさえありました。
それでもまだ、今、私はここに立っています。
それは、今ふりかえってみるとストレスや怒りを「なかったこと」にせず、向き合い対処してきたから、燃え尽きることなく、レジリエンスを獲得し、今ここにいられるのだと感じています。
本セッションでは、そんな自分の経験と、ストレス・アンガーマネジメントに役立った心理学的視点を交えながら、マネージャーが自分の感情をメタ的に捉え、しなやかに整えるためのヒントを紹介します。
怒りの感情を短期的にコントロールする「アンガーマネジメント」と、心身を長期的に整える「ストレスマネジメント」を統合し、「ゴキゲンでいる力=レジリエンス」を育むため、私が取り組んできたこと・学んだことを中心に紹介します。具体的には、期待のギャップや完璧主義、社内政治など、現場で起こりやすいストレス要因を可視化してきます。ABC理論を援用し自分の感情の根幹にある価値観と向き合ったり、コーピングで行き場のない感情をうまくやりすごしたり、リフレーミングでストレスを自分のエネルギーへと変換していったり。
「ゴキゲンさ」は単なる楽観ではなく、心理的安全性と創造性を支える基盤です。感情の伝染がチームに及ぼす影響を理解し、自らの整え方を身につけることは、チームの健全性を守るマネジメントスキルの一部です。
心が折れそうなときにこそ、しなやかに立ち上がる力を。EM自身のウェルビーイングを支える内省の時間を、このセッションで共有します。