セッション(20分)

恐怖の大王を迎え入れる - 強い組織はパラシュート人事を乗りこなす? -

daiksy だいくしー

EM Conf 2025で、新任マネージャーとしてパラシュートで現場に降りていくときのふるまいについてお話をしました。このトークでは、パラシュート人事によって降下していくマネージャーをまるで「恐怖の大王」のようだと表現しました。
https://speakerdeck.com/daiksy/emconfjp2025

今回は、パラシュート人事を受け入れる側のマネージャーの視点で強い組織はなにかを考えます。

パラシュート人事によって組織が混乱した経験を持つ人はそれなりにいらっしゃると思います。できれば避けたいことですし、恐怖の大王サイドにも配属先の現場を尊重するふるまいを期待したいとは思います。一方で、急激な市場の変化に対応するための経営判断として、大きな素早い方針転換が必要なケースもあります。その場合、前任者とはまったく異なるビジョンを持ったマネージャーに対して、既存のチームの仕事や方針が、新しいマネージャーにとっても価値があることを説明し、アラインメントしてチームの混乱を最小限に留めるのも中間管理職の重要な仕事です。

前任者とまったく正反対の方針を持つ「恐怖の大王」をマネージャーとして迎え入れたとしても、もともとのチームに明確なビジョンと価値創出に自信を持ち、新しい方針の下で変わらず価値が出せる。これができる組織は相当強い組織であると言えるのではないでしょうか。

チームが成果を出すためには、現場とマネージャーがお互いに協力しあい、てこの作用を生じさせる必要があります。そのためには、現場がマネージャーを支え、フォロワーシップを持つことも重要です。

このトークでは、「恐怖の大王」をうまく迎え入れ、価値を出すマネージャーのふるまいについて考え、どうすればうまくいくか。逆に、それでもうまくいかないケースはどういうときか。これらを考えてみたいと思います。

セッション(40分)

燃え尽きないために〜エンジニアリングマネージャーのためのアンガー・ストレスマネジメント

dora_e_m いくお

エンジニアリングマネージャーという役割は、チームの成果と個人の感情の両方を背負う立場です。技術的負債や方針転換への苛立ち、板挟みのストレス、成果への過剰な責任感——その背後にある「怒り」と「ストレス」は表裏一体の関係にあります。私自身、ストレスにさらされる中で強い怒りを感じたり、時には「もうどうなってもいいや」と燃え尽きてしまいそうになることさえありました。

それでもまだ、今、私はここに立っています。

それは、今ふりかえってみるとストレスや怒りを「なかったこと」にせず、向き合い対処してきたから、燃え尽きることなく、レジリエンスを獲得し、今ここにいられるのだと感じています。
本セッションでは、そんな自分の経験と、ストレス・アンガーマネジメントに役立った心理学的視点を交えながら、マネージャーが自分の感情をメタ的に捉え、しなやかに整えるためのヒントを紹介します。

怒りの感情を短期的にコントロールする「アンガーマネジメント」と、心身を長期的に整える「ストレスマネジメント」を統合し、「ゴキゲンでいる力=レジリエンス」を育むため、私が取り組んできたこと・学んだことを中心に紹介します。具体的には、期待のギャップや完璧主義、社内政治など、現場で起こりやすいストレス要因を可視化してきます。ABC理論を援用し自分の感情の根幹にある価値観と向き合ったり、コーピングで行き場のない感情をうまくやりすごしたり、リフレーミングでストレスを自分のエネルギーへと変換していったり。

「ゴキゲンさ」は単なる楽観ではなく、心理的安全性と創造性を支える基盤です。感情の伝染がチームに及ぼす影響を理解し、自らの整え方を身につけることは、チームの健全性を守るマネジメントスキルの一部です。

心が折れそうなときにこそ、しなやかに立ち上がる力を。EM自身のウェルビーイングを支える内省の時間を、このセッションで共有します。

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