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『Rubyソースコード完全解説』、通称『Ruby Hacking Guide』は、Ruby 処理系のソースコードを上から下まで網羅的に解説するという稀代な書籍である。
Ruby に限らず、そもそも「あるソフトウェアのソースコードを解説する本」という例自体が非常に少ないと言ってよいだろう。
私が言語処理系に興味を持ったり作ったりするようになったのはこの本の影響である。中学生の頃はゲームや小さなデスクトップアプリケーションを作っていた私が、高校 3 年間を自作の言語の設計と開発に費したのは、確実にこの本が原因である。
この本の執筆当時、Ruby は 1.7.3 (2002-09-12) であった。そこから 20 年以上の時を経て、Ruby はバージョン 4 となった。かつて抽象構文木を辿って実行していた評価器は YARV に始まる VM ベースの実行へと置き換えられ、JIT による機械語への変換さえもおこなわれるようになった。構文解析器すらもリライトされ、書籍中の解説と今の実装とでは乖離点も多い。
そのような状況で、今この本はどのような価値を持つのか?
現在に至るまでの私の興味関心領域を決定付けた本書を、是非紹介したい。
なお、本書は紙では絶版しているものの、当時から全文が Web 上で無償公開されている。したがって、古い書籍であるものの、現在も極めて容易にアクセス可能である。