PHPerKaigi 2026
PHPer Book Revue (5分)

太陽の塔

Dash_Kojima りばすと Dash_Kojima

森見登美彦氏の『太陽の塔』は、元・恋人である水尾さんを、日々のスケジュールから住んでいるマンションに至るまで研究し続ける「私」の日々を描いた作品である。
偏屈な大学生の阿呆なやりとりの中に横たわる、どこまでも深く、深く落ちていくような失恋。
それがまるで人生のすべてだと言わんばかりのほの暗い感情は、果たして彼の中では人生そのものなのだ。

この小説を読むたびに鮮明に失恋の感情を思い出すことができる。そういった点で私はこの小説が大好きだ。
「あの時ああしていれば」「こうだったんじゃないか」「あれだってそうだ」「これだって」。
主人公である「私」のじわっとした感情は、あまりに等身大で、リアルで、青く、そして愛おしい。

また、これだけの感情を浴びて思うのは、こういった負の感情で満たされた一日も、のんびりご飯を食べたりテレビを見たりして何気なく過ごす一日も、同じ人生の「一日」という事実である。
私たちは日々をどれだけ自覚的に過ごせているだろうか?
やや拡大解釈ではあるが、日々を見直すきっかけとしてもおすすめの本作を紹介します。