「神クラス」問題の本質を、「サブジェクト-オブジェクト」二重化エンティティモデルで理解する by たなかこういち

Object-Oriented Conference 2020
採択
2020/02/16 15:30〜
共1-301
ショートセッション

「神クラス」問題の本質を、「サブジェクト-オブジェクト」二重化エンティティモデルで理解する

Tanaka9230 たなかこういち Tanaka9230

「神クラス」とは、一つのクラスに余りにも多くの機能性を装備してしまい、コードが肥大化した様子を示すアンチパターンである。幾重にもSRP違反になってしまっている状態である。「神クラス」は、幅広いユースケースへ懸命に対応しようとする中で生み出されてしまう。

「神クラス」は、いわゆる業務系システムにて生じがちで、対して、技術的な装置、例えばHTTP Server、複合機の制御システム、などでは生じにくい。

業務システムではなぜ神クラスが出現しやすいか?業務システムのクラスの外部仕様は業務担当者の脳内にある。素朴に客観的に存在するとみなせない。対して、技術的な対象は、素朴に客観的に存在すると見なせる。業務システムでは、系の本質はむしろ利用者(=クライアント)の脳内イメージそのものなので、系に対する要求発生源を単一に収斂させることができない。

ここに、系のクライアントの脳内イメージを「サブジェクト」と称し、複数のクライアントの「サブジェクト」を調停・統合・合意したモデルを「オブジェクト」と称したとき、いわゆる「エンティティ」は、本質的にサブジェクト-オブジェクトの二重構造を取るというモデルを提示する。