井上大輔
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【発表概要】
私がエンジニアからビジネスサイド職種へ転身したのが10年前。様々な経験をし、昨年再びソフトウェアエンジニアに戻ってきました。
技術とビジネス、軸足はどちらにあるのか。一見するとどっちつかずかもしませんが、私には「この経験があるからこそ問題に感じること」と「その問題に届く道筋」が見えています。その道筋とは“CRE - Customer Reliability Engineering”です。“SRE”についてはすでに普遍的な一技術として確立されていますが、CREについてはその“業界標準”は未だ存在していないと認識しています。
様々な経験があるからこそ発揮できる“技術としてのCRE”を、多様な経験をしてきた一人として、「業界における普遍的なキャリアにする」「私と同じような人々にとって新たな選択肢をつくる」というチャレンジに、私は今取り組んでいます。AIがコードを書くのが当たり前になっている「未来」における、“普遍的なキャリアとしてのCRE” とは何か。私の考えをお話しします。
【発表詳細】
私がビジネスサイドで歩んだ9年間のキャリアでは、セールス、カスタマーサクセス(CS)、製品スペシャリストなど、複数の職種を経験しました。
この変遷の中で、私は「CRE - Customer Reliability Engineer」という職種の立ち上げにも携わり、多くの成果を挙げられた一方で、「自分は事業に貢献できているのか」「CREとしての専門性とは何か」といった不安も感じていました。
加えて、「Customer Reliability(顧客信頼性)」の対象と範囲は何か? という難問がありました。プロダクト提供者側の一員として、私たちが守るべき “顧客信頼” とは何なのか。自問自答する日々が続きました。
その後のビジネスサイド職種での業務において、以下のような経験をしました。
・商談の段階によって「営業からCS」などのような形でお客様の担当者が変わることがあるが、そこでの情報伝達の不備は顧客体験を損なう原因になる(例: 「前の担当者には、自分が直面している課題を伝えたのに…」)
・営業やCSは、一人が多くの顧客を担当しており、過負荷な状況が常態化
・お客様に相対する担当者の対応内容や質、速度などが、お客様がプロダクトに対して抱く信頼を大きく左右する
一般的に、現在のCREの文脈での「顧客信頼」の対象としては、「障害の少なさ」「使いやすさ」といった「システムの信頼性」に関するものが多いように感じています。
もちろんこれらも大事な要素ですが、お客様からの信頼は“プロダクトそのもの”だけで作られるものではありません。前述の通り、「担当者による対応も、お客様からの信頼に大きく影響する」ものであり、そう考えると、「“人が人へ”提供する各種サービス」も含めて「プロダクト」であると言えないでしょうか。真に顧客信頼を追求するのであれば、そうしたものもコントロールの対象とする必要があるはずです。
つまり、「この業界における普遍的な CREing - Customer Reliability Engineering」とは、「広義のプロダクトに対しての、お客様からの信頼の保全と向上に寄与する技術」であると考えています。だとすると、多様な経験をしてきた人こそ「顧客信頼への感度」が高く、効果的に“技術”を発揮し、活躍もできるはずです。
このセッションでは「企業や事業の違いに依らないCREing」について、現時点での私の考えを話します。その道筋は、ぼんやりとは見えていますが確立までには道半ばです。きのこカンファレンスの場で私の考えをお話しつつも、皆さんからのフィードバックも得て、未来に向けて確固なものにしていけたら嬉しいです。
【想定聴衆・得られるもの】
◎想定聴衆
・開発/biz問わず、幅広く様々な経験をしてきた方。その経験を生かしたブレークスルーを求めている方
・事業に貢献し得る技術力の発揮の仕方を模索されている方
◎得られるもの
・多様な経験の生かし方のヒントや視点、新たなキャリアの一つの姿
・あなたの技術力をどのような場面で・どんな人たちが必要としているのか
【なぜこのトピックについて話すのか】
私は約10年間、エンジニアを経験したのちに、キャリアのブレークスルーを求め、いわゆるビジネスサイドと呼ばれる職種にキャリアチェンジしました。
また、エンジニアとビジネスサイド職種としての経験を活かせる新しい職種を立ち上げるだけでなく、そこで困難にぶつかるということもまた実際に経験しました。
そんな自分だからこそ見えていることを、実体験をもとにお話できる・それによって前向きな気持ちになれる方がきっといる、と考えたため、今回応募したいと考えました。