ナカミチ
ici_mici
私は勝ち負けや強弱、失敗や成功といったものにあまり興味がない。いや、辟易していると言った方が正しい。
昔から無欲な人間だったわけではない。
27歳でIT業界に入った。明らかな出遅れは、長年私を技術力への劣等感と、周囲の評価に対する飢えに縛り付けた。しかし不惑を迎え、それらの憑き物が落ちていることに気がついた。
当セッションでは何者でもない私が、何者でもない自分自身を認め、
他者に囚われず、いかにして心の平穏を取り戻したのか。その過程を私を救った書物と共に辿る。
紹介する予定の本は以下である
精神の平穏を再構築するに至った書物について記述する。
新渡戸稲造 1899
日本人の価値観を欧米諸国に伝えるために書かれた一冊
我々日本人の根底に流れる価値観である、義・勇・仁・礼・誠・名誉・忠義、そして切腹の美学について話す。
ひとこと「切腹してはならない」
孔子 だいたい2,500年前
思想家である孔子の言葉
武士道のベースになった書物。人の普遍性を教えてくれる。あと孔子は生姜をあんまり食べないとか、くだらないことも書いている。
ひとこと「どの時代だろうが人間の本質は変わらない」
センディル・ムッライナタン、エルダー・シャフィール 2013
飢えている時は正常な判断ができない。ゆとりの重要さを教えてくれる。
この本によって自身の葛藤や絶望が欠乏のせいだと自覚した。
ひとこと「まずは飢えを解消することだ」
アリストテレス だいたい2,300年前
哲学者アリストテレスの言葉たち。
人間の全ての行動は幸福に向かうためのもの。偏りすぎない中庸という状態が大切。といった普遍的な考えが書かれている。凄すぎる本。
ひとこと「苦痛を排除せよ。幸福を目指せ」
ハイデガー 1927
正直なところ全体的に難解すぎるのだが、それでも「世人(ダス・マン)」という考え方は衝撃的だった。
人は自分の価値観ではなく世間の平均に合わせて振る舞う。平均から抗おうとする行為すらまた別の世人となる。本来的な自分を取り戻すためには、死と向き合うことと良心の呼び声に従うこと。
ひとこと「自身がもう直ぐ死ぬとしたら何を大切にするのか?」
キルケゴール 1849
絶望が与える苦しみは果てしない。そして、絶望にも色々な種類があることを教えてくれる。
絶望していることに気づかない絶望、自分であろうとしない絶望、自分であろうとする絶望。
絶望から抜け出すには自分の中に信じる何かを持たなくてはいけない。
ひとこと「信じるものを持ってほしい」
著者不明 大体2,300年前
水のように自由自在で高いところから低いところへ流れるものが最も善いものである。
富まず尖らず誇らずにいることが平穏を招くということを教えてくれる。
ひとこと「まあ肩の力を抜きなよ」
宮沢賢治 1923
2ページにも満たない文章が、私の人生観を形成している。
この文章についてはただあるがまま読み上げることとする。
私は哲学や文学の専門家ではない。しかし、一人のソフトウェアエンジニアとしてこれらの言葉をどう咀嚼し、どう現実と向き合ったのか。その実践知としての側面を重視して語る。
30代以上のエンジニア
その中でも主に自身の技術力、社会的地位、収入にコンプレックスを持っている人
絶望を乗り越え心の平穏を保つための考え方および参考となる書籍の情報
周囲の人間や社会に振り回されず、これから何のために仕事を続けるのかを見つめ直すきっかけ
IT業界に入って以来コンプレックスにまみれ、技術力の無さに嘆き、周囲の評価に飢えてきた。
SNS上で見かけるエンジニア達に憧れ、そうならなければならないと焦っていた。
きっと似たような人はいると思う。
今苦しみや不安を抱える人、そして未来にそうなるかもしれない人に向けて、
エンジニア人生をどう生きるのか。そして、不安を少しでも和らげ、生きるのが少し楽になれば、私も嬉しい。