エンジニアがこの先生きのこるためのカンファレンス2026
通常セッション(20分)

「守りのドキュメントスキル」がLLM時代の最強の武器に! 〜エンジニアのシン・生存戦略〜

古川人士
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  1. 発表概要
    「AIに仕事を奪われるのでは?」と不安を抱えるすべてのエンジニアへ。
    私は23年間、いわゆる「凄腕のエンジニア」ではありません。大企業のSEとして様々な調整に追われ、属人化を防ぎ「いつでも引き継げるように(自分を守るために)」と仕様書を書き、オフショア開発で「曖昧さをなくす指示」を出し続けてきました。

しかしLLM時代が到来した今、その「守りの技術」がAIコーディングツールを操る最強の武器へと一変しました。コーディングの実務経験が浅くても、的確な仕様化能力さえあれば、片手間の2週間で一人でプロダクトのプロトタイプを作り上げられる時代になったのです。

本セッションでは、キャリアの荒波を「半分信じて、半分疑う」精神でサバイブしてきた私が、旧来のSEスキルがAI時代にどう輝くのか、そして組織的バグを見極めて「戦略的に逃げる(損切りする)」ためのマインドシフトの極意をお話しします。

  1. 発表の詳細
    エンジニアのキャリアは、決してきれいごとだけでは進みません。「10年後も生き残れるか?」という不安に対する私の答えは、「波に乗り、不要な抱え込みを防ぎ、過去の遺産を思わぬ形で再利用する」という泥臭いサバイバル術です。

本セッションでは、以下の3つのテーマを軸に、明日から使える「生き残り方」をお伝えします。

① 「守りのドキュメント」が「最強のプロンプト」に変わるパラダイムシフト
私は長年、オフショア開発(中国、インド、ベトナム)のマネジメントや、属人化を防ぐため(=いつでも自分が引き継げる状態にして身を守るため)の仕様書作成に注力してきました。
しかし、LLM時代において「曖昧さを排除し、簡潔に仕様を定義する力」は、AIに精緻なコードを書かせるためのプロンプト技術へと昇華しました。自分自身で2週間でフルスタックのプロトタイプを完成させるに至った実践例を通し、これまでの「レガシー」と思われがちなSEのスキルがいかに大きな価値(攻めの武器)を持つかを示します。

② 組織の「構造的バグ」から速やかに離れる嗅覚
システム障害による徹夜対応よりも一番辛いのは、「組織構造や契約関係に起因する問題」です。
「ミーティングや承認ばかりで前へ進まない」「マネージャーが『君に期待する役割だよ』と丸投げする」「熱意よりも政治的理由で決まる」。これらは自分がどれだけ頑張っても解決できない「組織的バグ」のサインです。自分を守るためには、このサインをどう察知し、いかに速やかに「離れる(損切りする)」か。その明確な判断基準をお話しします。

③ Slackの「お辞儀」を「いいね!」に変えるマインドセット
元々は変化を嫌う性格でしたが、多国籍環境への転職で「英語」の持つ前向きなコミュニケーションに影響を受けました。日本のビジネスチャットで多用される「お辞儀」アイコンの同調圧力から抜け出し、ポジティブに「いいね!」と変化を受け入れるマインド。「半分信じて半分疑う(常にPlan Bを持つ)」というスタンスを持つことで、予期せぬ技術の波を「ピンチ」ではなく「チャンス」として乗りこなす方法を共有します。

  1. 想定する聴衆とその人たちが得られるもの
    【想定する聴衆】
    • 凄腕プログラマーではないことにコンプレックスやキャリアの不安を感じている中堅エンジニア
    • 現場の理不尽な人間関係や「組織的バグ」に疲弊し、辞めるべきか悩んでいる若手エンジニア
    • AIの進化に対して「自分のこれまでのスキルがどう活かせるか」を探している方

【得られるもの】

  • 自分がこれまで培ってきた「仕様化」「ドキュメント化」のスキルが、AI時代にいかに強力な武器になるかという自信と気づき。
  • 自分が抱え込むべき技術的課題と、速やかに「離れるべき」問題(組織的欠陥)を切り分けるための客観的な視点。
  • 変化を恐れず、「Plan B」を持ちながら新しい波を面白がるための実践的なマインドセット。
  1. なぜあなたがこのトピックについて話すのか
    2003年のSE入社から、大規模Webサービスの立ち上げ・運用での経験、グローバルなアパレル企業での多国籍チームでのエンジニア、そして現在のデータベンチャーでのPdMと生成AI案件リードに至るまで、約23年間にわたり「技術の変遷」と「組織の形」の変化の最前線でサバイブし続けてきたからです。
    私は決して天才肌のエンジニアではありません。だからこそ、絶え間ないキャッチアップと、「属人化を防ぐ守りのドキュメント化」「組織のバグからの回避」といった生存術を磨いてきました。未来に不安を抱える多くのエンジニアにとって、リアルで再現性のある「明日からの道標」になると確信しています。