エンジニアがこの先生きのこるためのカンファレンス2026
通常セッション(20分)

AI時代の生存戦略:変わらない技術「SQL」に立ち返れ

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発表概要

エンジニアとして長く生きのこるためには、時代や環境の変化に左右されにくい「基礎となる技術の柱」を持つことが重要です。
AIの普及によりアプリケーションコードは高速に生成・破棄を繰り返す"消耗品"へと変わりつつありますが、
データとスキーマは依然としてプロダクトの根幹であり、設計変更のコストも大きく長寿命のままです。
その基盤を支えるSQLは、方言の違いこそあれ基本構文はほぼ変わらず、技術寿命の観点でも安定した汎用性の高い言語です。

本セッションでは、AIがORMやDSLよりも生SQLを得意とする背景、最適なスキーマやクエリ設計にSQLの理解が不可欠であること、そして実際の現場でSQLが品質や障害対応に直結した経験を紹介します。
また、SQLの弱点であるテストや型サポートを補う手法や、日常作業でSQLを活用する事例も提示します。
AIとデータが中心となるこれからの時代に向けて、「今こそSQLに立ち返る」具体的な技術的指針を提供します。

発表の詳細

エンジニアとして長くキャリアを続けるには、時代や環境に左右されにくい「基礎技術の柱」を持つことが重要です。AI生成コードが一般化し、アプリケーションコードはますます使い捨てに近づいています。一方で、データ構造やスキーマはプロダクトの根幹として長寿命であり、設計の誤りは長く残って柔軟性や性能を制約します。この「長寿命レイヤー」を扱う基盤技術として、SQLの価値が改めて高まっています。

SQLの歴史は長く、方言はあれど基本構文やデータモデルは大きく変わりません。そのため学習データが膨大で、さらに構文が英語に近いため自然言語モデルとの親和性が高く、AIにとってはORMやDSLより生SQLのほうが曖昧さが少なく扱いやすい言語です。AIがコードを書く時代では、人間は「生成されたSQLの妥当性を評価できる力」がより重要になります。

本セッションでは、私がモバイルオンラインゲームのバックエンドを担当してきた中で、SQLの理解が問題解決に直結した事例を紹介します。リリース直後にDB負荷が急増した際にはオンラインでのインデックス追加を行いましたが、ロックの影響やクエリ特性の変化を判断するにはSQLの知識が不可欠でした。また、単一レコードに書き込みが集中する仕様をクエリの工夫で解決した事例などもありました。

次に、SQLの弱点とされる「テストしづらさ」「型の薄さ」への対処法も示します。Dockerにより複数DBを容易に立てられるようになり、Go言語ではMySQL互換のインプロセスDB(go-mysql-server)などを使ってクエリ自体をユニットテストできます。また、sqlcのようにSQLから型安全なコードを生成するツールにより型サポートを補うこともできますし、AIにクエリとモデルを同時生成させる開発フローも実用段階にあります。

さらに、日常的な開発でもSQLは強力です。データ集計や検証は依然としてSQLが効率的であり、インプロセスDBを組み込んだGo製CLIを作ってみたところ環境依存も少なく扱いやすいという体験を得られました。また、SQLとは異なりますが.NETのLINQのようにSQL的操作モデルが長年支持されている点も、データ操作としての普遍性を示しています。

AIによってアプリケーションが高速に流動化する今こそ、変わらない基盤技術としてSQLに立ち返る、その具体的な技術的視点を提示します。

想想定する聴衆とその人たちが得られるもの

自身の強みとなる技術を確立したい人やAI時代にどんな技術を学ぶべきか迷っている人
技術の寿命から考えるという視点と、SQLという現実的な選択肢

なぜこのトピックについて話したいのか

長年モバイルオンラインゲーム(ソーシャルゲーム、スマホゲーム)のバックエンド開発に携わり、様々な技術や障害に触れてきたなかで、データベースとSQLの重要性を実感してきました。
AIが普及してきたこれからの時代では、さらにSQLの重要性が増していると感じています。そんな時代だからこそ、これからに向けてSQLに立ち返るという視点を多くのエンジニアに共有したいと考えています。