エンジニアがこの先生きのこるためのカンファレンス2026
通常セッション(20分)

推しは推せるときに推せ!ライフステージ変化に向き合う

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① 発表概要

「自分には、外に向けて発信できるような特別な強みなんてない」。そう思って過ごした時期が私にもありました。
40代、4度目の転職。コロナ禍で技術的な繋がりが絶たれた閉塞感の中、私の運命を変えたのは一つのOSSツール、そしてその作者という「推し」との出会いでした。
本セッションでは、地方在住・子育て世代のエンジニアである私が、いかにして40代から「OSSコミッター」「カンファレンス登壇者」「技術書著者」へと変貌を遂げたのか、その舞台裏を明かします。
キーワードは「推し」です。特定の技術や人、コミュニティへの情熱を、いかにして自身の成長サイクル(OSS貢献、登壇、フィードバックの循環)へ昇華させたのか。ライフステージの変化を「活動の制限」ではなく「好機の到来」と捉え直す考え方と、2026年という未来を自分らしく生き抜くための、泥臭くも再現性のある戦略をお伝えします。

② 発表の詳細

1. 「何者でもなかった」自分と、沈黙の数年間
かつてはメガベンチャーで社内発表などを経験していましたが、転職とコロナ禍が重なり、対外的な接点はゼロに。自分なりに社内でSlack Bot Officerを名乗るなどの活動はしていましたが、心のどこかで「外の世界で活躍するエンジニア」への憧れと、動けていない自分への焦りがありました。

2. 運命の出会い:OSSツール「runn」と作者k1LoW氏
転機は、一つのツールを「推し」始めたことでした。コードが追える規模だったそのOSSにPRを送り続け、気づけばコミッターに。さらに、チームメイトが繋いでくれた縁で作者のk1LoW氏とリアルで出会います。地方カンファレンスという「廊下」での熱い議論。その圧倒的な熱量に触れ、私のエンジニア人生は「再起動」ではなく、40代にして初めて「本格始動」しました。

3. 「推し」を追って全国へ:フィードバック・サイクルの構築
「推しに会いたい」「もっと話したい」という純粋な動機が、私を各地のカンファレンス登壇へと駆り立てました。

  • 登壇することでFBを貰い、それを業務やOSS改善に活かす。
  • 改善した取り組みをまたOSS化し、次の登壇ネタにする。
    この「推し駆動」のサイクルが、自分でも驚くほどの成長スピードを生み出しました。

4. ライフステージの変化を「味方」にする戦略
「若いうちに頑張らないと手遅れ」という言説がありますが、現実は違います。

  • 子育てのフェーズ変化: 手がかからなくなった時間を自分の活動へ。
  • 技術的障壁の低下: AIやDeepLの活用で、英語やコードの壁を突破。
  • コミュニティの成熟: 地方カンファレンスの増加が、地方エンジニアのチャンスに。
    「今が一番動ける」という確信のもと、ライフステージに合わせた「戦い方」を選択する重要性を説きます。

5. 結論:推しは推せるときに推せ!
コミュニティも、憧れのエンジニアも、そして自分自身の「動ける状況」も、永遠ではありません。PHPカンファレンス福岡の節目に象徴されるように、機会は一期一会です。「FUTURE ~いまから、ここから~」のテーマ通り、何歳からでも、どんな環境からでも、熱量さえあれば未来は変えられる。本登壇を通じて、参加者の一歩を踏み出す勇気を後押しします。

③ 想定する聴衆とその人たちが得られるもの

  • 想定する聴衆:

  • 30代〜40代で、キャリアの停滞感や将来への不安を感じているエンジニア

  • OSSやコミュニティ活動に興味はあるが、家庭や年齢を理由に一歩踏み出せずにいる方

  • 「自分には語れるネタがない」と思い込んでいる若手エンジニア

  • 得られるもの:

  • ライフステージの変化をポジティブに捉え、活動に繋げるための具体的なマインドセット

  • 「推し」という感情を技術的成長やキャリア形成に結びつける「推し駆動開発」のステップ

  • アウトプットが次のアウトプットを呼ぶ、フィードバック・サイクルの作り方

④ なぜあなたがこのトピックについて話すのか

私自身が、40代に入るまで「外の世界」とは無縁な、ごく普通のエンジニアだったからです。地方在住で子育て中という、一見すると「エンジニアとしての活動量が落ちる」はずの条件下で、なぜ今が人生で最もアウトプットできているのか。その実体験には、キラキラした若手スターエンジニアの言葉よりも、多くのベテランや悩める中堅層に響く「泥臭い真実」と「再現性」があると信じているからです。6年間の沈黙を破って「遅咲きのデビュー」を果たした私だからこそ、2026年のテーマである「いまから、ここから」を体現して伝えることができます。