エンジニアがこの先生きのこるためのカンファレンス2026
通常セッション(20分)

「信頼している人の提案は黙って受けてみる」—— "流れに乗る"生存戦略

kenchan 高橋健一 kenchan
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1. 発表概要

キャリアの節目にはいつも「信頼している人」がいました。憧れの人がいる会社に飛び込み、コミュニティで信頼する先輩の姿に惹かれて転職し、「あなたがやるべき」という提案を受けてマネジメントの道へ。どれも自分で計画したものではありません。
いま44歳。生成AIの台頭をはじめ、これまでとはまったく違うレベルの変化がエンジニアの世界に起きています。私自身、組織全体をAIエージェントと協働できる状態にする「Agent Ready」という構想に取り組んでいる最中です。40歳で技術責任者を引き受けたときは不安が8割でしたが、いまも変化の渦中にいます。
このトークでは、変化の激しい時代の中で「信頼している人の提案に乗る」ことでキャリアを切り拓いてきた経験と、いまその渦中で考えていることをお話しします。

2. 発表の詳細

まず、私のキャリアの転機をふりかえります。学生時代に憧れた人がいる会社に入り、Rubyとアジャイルのコミュニティでたくさんのよい出会いがありました。その中で信頼する方々が楽しそうに働いている姿を見てGMOペパボに転職、マネジメント職への抜擢、40歳での技術責任者就任と、いずれも信頼している人からの提案がきっかけでした。

次に、「信頼できる人にどう出会うのか」について話します。これは運ではなく、再現可能なプロセスだと考えています。コミュニティに出ることで相手のアウトプットや考え方を先に知れること。同じ現場で日常の判断の積み重ねを観察する中で信頼が醸成されること。そして自分自身がアウトプットし責任を引き受けることで、今度は自分に提案が届く側になること。この3つの循環が信頼の基盤になっています。

そして、いまの挑戦について話します。生成AIの台頭によって、エンジニアの働き方そのものが問い直されています。私自身、2023年から全社での生成AI活用を推進し、2026年のいまは「Agent Ready」——組織全体がAIエージェントと協働できる状態への転換に取り組んでいます。44歳になったいまも、信頼する人たちとの対話の中から生まれた新しい提案に乗り続けています。

最後に、これらの経験を踏まえて「流れに乗るための準備」を整理します。外に出ること、観察すること、信頼される側になること、そして提案が来たら不安でもまず乗ってみること。計画通りにいかないキャリアの中でも、この循環を回し続けることが「いまから、ここから」未来をつくる方法だと伝えます。

3. 想定する聴衆とその人たちが得られるもの

キャリアの方向性に漠然とした不安を持つ20代〜30代のエンジニアを主な対象としています。「何を学ぶべきか」「次にどこへ行くべきか」を自分で計画しなければならないというプレッシャーを感じている方に、計画とは違うキャリアの作り方があることを知ってもらえます。また、信頼できる人との関係をどう築くかという具体的な行動指針を持ち帰れます。

4. なぜこのトピックについて話したいのか

受託開発を生業としている企業からWeb系への転職、ICからマネジメントへの転向、組織の責任者へ、そしていまAgent Readyという新たな組織変革への挑戦。すべてが信頼する人の提案から始まりました。計画的にキャリアを設計したのではなく、信頼の循環に乗り続けた結果としていまここにいます。この「流れに乗る」というアプローチを、まさにいま実践し続けている当事者として話したいと考えています。