エンジニアがこの先生きのこるためのカンファレンス2026
通常セッション(20分)

Engineer Must Die:エンジニアの寿命を延ばすための破壊と再生

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  1. 発表概要(400字程度)

「一生エンジニアでいたい」と願うなら、まず現在の自分を一度捨てなければなりません。
成長することを、一皮剥けると表現をすることがありますが、エンジニアにとってもそのプロセスは必要不可欠です。過去の成功体験、積み上げたプライド、無理のきいた不健康な働き方。これらはかつて自分を守った「皮」ですが、時が経てば自分を締め付け、成長を阻む「牢獄」に変わります。
本セッションでは、フルリモートワークの開発組織でエンジニアリングマネージャーとして働く傍ら、地方でエンジニアコミュニティを主催している登壇者が、自身の「破壊と再生」のプロセスを共有します。執着を捨てる勇気と、その先に手に入れた健康・仲間・発信という新たな生存基盤。自分の中で凝り固まった古いOSを脱ぎ捨て、再び純粋な好奇心で未来を愉しむためのアップデートに必要なリブートの作法をお伝えします。

  1. 発表の詳細(1000字程度)

破壊 ── 古い皮を脱ぎ捨て、窒息を防ぐ
成長に伴う痛みは、脱皮のサインです。

  • 成功体験という「いかだ」を捨てる
    禅の教えに、河を渡った後にいかだを担いで歩く愚かさを説くものがあります。
    過去に評価された技術領域や「自分はこういうエンジニアだ」という自己像に、無意識にしがみついていました。
    しかしマネージャーとしての役割が増える中で、そのアイデンティティはむしろ自分を縛るものになっていました。
    プライドの破壊こそが、役割拡張の第一歩でした。身軽になることで初めて次のフェーズへ進めます。
  • 不健康という負債の償還
    長時間労働や気合いによる突破は、若い頃は機能しました。
    しかしそれは未来の自分からの借金でしかありません。
    睡眠時間の固定、定期的な運動の習慣化、仕事量の意図的な制限を徹底しました。
    これは甘えではなく、長期稼働するための設計変更です。

再生 ── 新しいOSを構成する3つの基盤
破壊の後に必要なのは、持続可能な構造です。

  • 物理レイヤー / 健康を基盤化する
    睡眠・食事・運動は趣味ではなく、アウトプット品質を支えるインフラです。
    エンジニア寿命は、体力寿命と連動しています。
  • 社会レイヤー / 孤立を防ぐコミュニティ
    コミュニティは単なる刺激ではなく、思考の循環装置です。
    独力での生存戦略は、変化の激しい現代では通用しません。
    社内、社外に資産ともいうべきコミュニティを育てることは必要不可欠です。
  • 認知レイヤー / 外形化によるメモリ解放
    ドキュメント文化の中で働く中で実感したのは、「書くことは、自分をアップデートすること」だということです。
    考えを外に出すことで、過去の自分を客観視することができます。
    自分の思考の癖に気づき、学びを再利用可能にすることができます。
    現職でのドキュメント文化の中で磨かれた、アウトプットを通じて「自分に立ち返る」習慣を提案します 。

結論 ── 空のカップに注がれる未来
すでに満たされたカップには、新しい茶は注げません。
過去の自分を破壊することは敗北ではありません。
それは「アップデート」です。
破壊と再生を繰り返すことで、エンジニアは年齢とともに劣化するのではなく、深化していきます。

  1. 想定する聴衆とその人たちが得られるもの
  • 30代後半〜40代で役割変化に戸惑っているエンジニア
  • EMやテックリードに移行し始めた人
  • これからの10年に漠然とした不安を抱えている人
  1. なぜこのトピックについて話したいのか
    私は過去、自分の成功体験に固執し、新しい役割を受け入れられずに停滞した時期がありました。
    しかし、プライドを手放し、健康管理とコミュニティ参加、そして言語化習慣を意識的に取り入れたことで、エンジニアとしての楽しさを取り戻しました。
    捨てることは敗北ではないという実体験があるからこそ、このテーマを語りたいと考えています。