エンジニアリングマネージャー(以下、EM)が役割をまっとうするために重要なのが、周囲からの信頼貯金です。
メンバーから見た場合。
この人なら、技術的な意思決定について任せることができる。
厳しいスケジュールだけれども、この人が大切な案件だというなら、それを信じてコミットメントできる。
チーム外から見た場合。
この人なら、チームが今やるべきことを期待通りに遂行してくれる。
開発者体験というものはよくわからないけれども、このEMが大切だというなら今やっておいたほうがいいんだろう。
初めてEMになるタイミングでは、知らず知らずこの信頼貯金をもっているものです。(少なくとも、エンジニアが自分の所属しているチームのEMを任される場合。)
なぜなら、その組織で一定の成果を上げたからこそEMに任命されているはずです。
チームの技術スタックはよくわかっているし、チームに求められていること、そしてチームメンバーの特性だってよくわかっています。少なくとも、周囲はあなたがそういった状況にあると信頼しています。
EMがキャリアを積み重ねる中で、そういった信頼貯金がない状態に身を置くタイミングがやってきます。
組織内の他のチームに異動することになったり、新しいチャレンジを求めて転職したりーー。
特に後者の場合は、基本的に社内に自分のことを知っている人があまりいない状態からスタートするわけですから大変です。
そういった、積み上げでの信頼貯金がない状態でEMはどうやって信頼を獲得していけばよいのでしょうか。
10年以上マネジメント業を経験していく中で、私は何度か「信頼貯金がない状態でEMになる」という経験をし、信頼を勝ち得るために有効なパターンがある程度見えてきました。
上記のパターンについて、実例を交えながらご紹介できればと存じます。