Terraformによる爆速インフラ構築 〜スピードと品質を両立するSREの実践〜 by こうじゅん

SRE Kaigi 2026
セッション(30分)

Terraformによる爆速インフラ構築 〜スピードと品質を両立するSREの実践〜

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■ 発表カテゴリ
・Practices: SREの実践例と得られた教訓

■ 発表概要(400字程度)
本発表では、Terraformを駆使して“爆速インフラ環境構築”を実現した実践事例を紹介します。ファインディでは、様々なサービスの開発が日々行われており、SREチームに迅速かつ安全な環境構築が求められてきました。そこで私たちは、①サービス共通で利用できる汎用モジュールの整備、②Terraform Testを活用したユニット・インテグレーションテストの導入、③AIエージェントDevinによるコード自動生成の活用、という三つの取り組みを進めてきました。本セッションでは、それぞれの実装方法、導入過程で直面した課題と工夫、そして得られた効果を共有します。スピードと品質を両立したインフラ環境構築のヒントを参加者に持ち帰っていただければと思います。

■ 発表の詳細(1000字程度)
ファインディでは複数サービスが日々開発されており、新規インフラ環境をスピード感を持って構築することが求められてきました。特に少人数のSREチームにとって課題となったのは「スピードと品質の両立」です。限られたリソースの中で複数サービスの環境を同時に構築する必要がありました。社内ではTerraformでAWSのインフラ構築を行っており、上記の課題を解決するための“爆速インフラ環境構築”を実現する取り組みをご紹介します。

そこで私たちは以下の三つの施策を導入しました。

①汎用モジュールの整備
ネットワーク、ECS、Auroraなどの機能単位を社内向けに汎用モジュール化し、再利用性の高い構成を整備しました。これにより「汎用モジュールを呼ぶだけでファインディ汎用的なのAWSインフラ環境が構築できる」仕組みを整え、新規サービス立ち上げのリードタイムを大幅に短縮しました。

②Terraform Testの導入
v1.6からリリースされたTerraform Testを活用し、ユニットテストとインテグレーションテストを運用に組み込みました。ユニットテストではリソースを作らず論理的に検証し、一方、インテグレーションテストではsandboxアカウントに対して実際にapply→assert→destroyを行い、モジュールの品質を担保しました。これらのテストの仕組みをGitHub ActionsのCIに組み込むことにより、汎用モジュールから環境構築した際に「planは通ったがapplyはできなかった」というリスクを事前に検知でき、安心感のある環境構築が可能になりました。

③Devin(AIエージェント)の活用
SlackからDevinを起動し、汎用モジュールの呼び出しからTerraformコードの生成、プルリクエスト作成までを自動化しました。これにより、汎用モジュールのみ完結するインフラ環境構築を行う際は実際にTerraformのソースコードを書かずともSlack申請だけで完結する仕組みを実現しました。

これらの取り組みにより、複数新規サービスのインフラを少人数のチームで安全かつスピード感を持って構築できるようになりました。発表ではこれらの実装方法、導入に伴う課題と解決策、さらに今後の展望についても紹介します。

■ 対象聴衆とその人たちが得られるもの
本セッションは、SREやクラウド・インフラエンジニア、Terraformを利用している開発者、そしてIaCの品質向上に関心のある方を対象としています。

得られるもの
参加者は以下の知見を持ち帰ることができます。

  • サービス横断で利用可能なモジュール汎用化の設計・運用ノウハウ
  • Terraform Testを活用したユニットテスト・インテグレーションテストの実践例
  • AIエージェントをIaC開発フローに組み込む実用的なアプローチ
  • 少人数チームでも「スピードと品質」を同時に高める実践事例

■ なぜこのトピックについて話したいのか(モチベーション)
私たち自身が少人数のSREチームとして日々複数のサービスを支える中で、「スピードと品質の両立」という課題に直面してきました。限られたリソースの中で新規サービスの環境構築を複数同時に進めることは大きな負担であり、試行錯誤を重ねてきました。その過程で得られた工夫や実践知は、同じように少人数で奮闘しているSREやインフラエンジニアの方々にも役立つのではないかと考えています。本発表を通じて、私たちの経験が皆さんの参考になり、負担を減らし、前向きに進めるための具体的な施策を持ち帰っていただければと思います。