SRE Practicesを顧客接点に展開する:CRE実践と学び by masartz

SRE Kaigi 2026
セッション(30分)

SRE Practicesを顧客接点に展開する:CRE実践と学び

masartz
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■ 発表カテゴリ
・Practices: SREの実践例と得られた教訓

■ 発表概要(400字程度)
Customer Reliability Engineer(CRE)は、SREの知見を顧客接点に展開し、体験全体の信頼性を高める役割を担います。本セッションでは、自身がSREからCREに転じた経験をもとに「SRE PracticesをCREに輸入して実践した取り組み」を紹介します。これまでの実績として、カスタマーサポート業務のToil削減、Observability強化による調査効率化に加え、エラーバジェット活用に挑戦した失敗事例も共有します。その上で、今後の挑戦として「顧客体験に直結する指標設計」や「問い合わせ未然化のためのObservability改善」「CRE×AIによる改善サイクル加速」といったロードマップを提示します。SRE Practicesが顧客接点へ広がる可能性と共に、他領域へ応用するためのヒントを提供します。

■ 発表の詳細(1000字程度)
本発表では、「SRE PracticesをCREに展開する」をテーマに、実践と学び、そして今後の挑戦を整理して共有します。

  1. みてねCREのMissionと役割

みてねCREは「ユーザーに最も近い場所で、みてねの体験を支え、ファンになってもらうための総合的な体験を作る」をMissionとし、独立したグループとして存在しています。従来のサポートエンジニアの延長ではなく、ユーザー体験をReliabilityの観点で支えるエンジニアリング職種としてCREを位置づけ、グループ化して独立する意義を説明します。

  1. これまでの実績と学び

以下のSRE Practicesについて、みてねCREが取り組んだ事例を紹介します。

  • Toil削減: CS業務をスクリプト化・自動化・AI活用し、繰り返し作業を削減。担当者が本質的な改善や顧客体験向上に集中できるようになった。
  • Observability向上: 「推測するな、計測せよ」を合言葉にログ整備を進め、問い合わせ調査の迅速化を実現。根本原因の特定スピードが大幅に改善された。
  • Security × Reliability: 安心・安全なUXを提供する観点で認証改善施策を実施し、Reliabilityの一環である Securityを向上させた。
  • Error Budget: お問い合わせ件数をエラーバジェットとして扱う試みに挑戦。しかし定着せず、顧客体験を指標化する難しさと、チーム巻き込みの課題を学んだ。

これらを通じて、SRE PracticesはCREにおいても有効であり、また他領域にも展開可能であることを確認しました。

  1. 今後の挑戦とロードマップ

今後はより直接的に「顧客体験の信頼性」を測り高める取り組みを進めます。

  • 顧客体験に直結する指標設計: 顧客満足度・当たり前品質をどのように検討・検証するか
  • Observability改善: 「お問い合わせに至らないユーザーペイン」の可視化からより多くのユーザーへの信頼性提供に繋げる。
  • CRE × AI: AIを用いたお問い合わせ対応例とその実績加速化のためのアプローチ実績に基づく今後の展望

これらを段階的に進め、「顧客へ信頼を提供するエンジニアリング」を実現していきます。

■ 対象聴衆とその人たちが得られるもの

  • 対象: SRE、 CRE、 CS組織リーダー、 PdM/EM、 信頼性改善に関わるエンジニア
  • 得られるもの:
    • CREの役割とSRE Practicesの接点
    • Toil削減・Observability・Securityを顧客接点に展開する具体的アプローチ
    • 成功事例と失敗事例の両面からの実践的知見
    • 自社でCRE的な取り組みを進める際のヒントとロードマップの描き方

■ なぜこのトピックについて話したいのか(モチベーション)

SREのRoleとPracticesはこれまで多く紹介され、成功事例も蓄積されています。一方、その隣に位置するCREはRoleとしての認知度もSREに比べ圧倒的に低く、Practicesや価値の出し方についてはまだ事例が少ない領域です。私がSREとしての経験を経てCREに挑戦し、その経験を活かせた一方、うまくいかなかった失敗など多くの学びも得ました。こうしたリアルを共有することで、SRE自身の活動もより加速・活発化されることを期待しています。