■ 発表カテゴリ
・Practices: SREの実践例と得られた教訓
■ 発表概要(400字程度)
GENDAのSREチームは今年、もともと1名の体制から3名へ急拡大しました。これにより活動の幅が急速に拡大し、短期的な対応だけでなく、長期的な活動も推進していけるようになりました。「依頼があれば動く」という受動的な在り方から脱却し、「理想の姿を目指して道筋立てて進んでいく」という能動的なチームに進化しています。
単に作業者の頭数が増えたというだけで終わらず、「チームとして」最大限の成果を上げられるかどうかは、いかにチームメンバーの連携を最適化するかに懸かっています。私たちは自分たちの役割を型にはめず、あるときはEmbedded SREとしてプロダクトチームの一員となり当事者目線で課題を見つけたり、またあるときはPlatform SREとして各チームに提供するサービスの品質向上に努めたりと、プロダクトの内外から信頼性を高める取り組みをしています。そのように柔軟に動きつつも「チームとして」着実に前に進むための試行錯誤の軌跡と、そこから得た学びをお話しします。
■ 発表の詳細(1000字程度)
昨年までのSREチームは「SRE1名+兼務としてEM2名」の体制でした。そのため最低限のことしかできず、「依頼があれば動く」という受動的な在り方に留まっていました。そんな中でSREメンバーの採用が進み、能動的に動けるようになったものの、やりたいこと・やるべきことが多すぎて、何から始めるべきか途方に暮れていました。多くのグループ企業を抱えるGENDAにおいては、それぞれ性質の異なる複数プロダクトが同時に開発・運用されており、一律で「これをやればいい」というものは存在しなかったのです。また、SREチームは事業の成功を間接的に支える役割であるため、プロダクト開発に直接携わるエンジニアよりも優先タスクを定めるのが難しいという悩みもありました。
そこで、まずはSREチーム全員で集まり、いったん実現性は度外視して「理想の姿」を挙げていきました。そこからインパクトが大きく短期間でできるものを優先し、まず取り組むべき課題を定めました。今年できたばかりのチームだからこそ、ここで一度集まって方向性が統一できたことは効果的でした。
本セッションでは、改めて取り組むべき課題を定め直したことをターニングポイントとして、その前後で取り組んできたことを以下の流れでお話しします。
【ターニングポイント前の取り組み】
人数が増えて各プロダクトに手が回るようになったと意気込み、まずは各プロダクトへ順番に入り込んでいく計画を立てました。しかし、実際にプロダクトチームのメンバーと話をしてみると特に大きな困りごとは挙がらず、逆にSREチームから提案をしても「今それをやる必要があるのか」と疑問視されることもありました。そして、自分たちは本当に組織に必要とされているのか、SREチームには需要がないのではと感じることも。
同時に、SREチームが管理して各チームに提供しているツール群において、利用者の利便性向上や運用者の作業効率化を目指していましたが、タスクの優先度を決める指標が定まらず、何から着手すべきか分からないという悩みがありました。
【ターニングポイント】
こうした行き詰まりをきっかけに、チーム全員で改めて「理想の姿」を議論する時間を設けました。これまでのように順に目の前の課題に対応していくのではなく、目指したい状態を明確に言語化し、そこから逆算して具体的な道筋を描くことにしました。また、より効率的に進められるよう、各メンバーがどの分野でオーナーシップを持つのかを明確に割り振りました。このプロセスを通じて、チームとしての方向性と責任の所在がクリアになり、漠然とした活動から一歩踏み出すきっかけとなりました。
【ターニングポイント後の取り組み】
方向性が定まったことで、日々の活動にも変化が生まれました。まず、2週間単位のスプリントを導入し、計画的にタスクを進める運用へと切り替えました。小さな試行錯誤を積み重ねることで、完璧を目指して動けなくなるのではなく、まずは動きながら学び、改善していくスタイルを定着させました。
さらに、社内からの需要を取りこぼさず、気軽に相談してもらえる存在となれるよう、「なんでも相談できるSRE」という立ち位置づくりにも力を入れました。その一環として、インフラガイドラインの導入を通じて各チームのインフラ事情を把握したり、気軽な相談を受け付けるオフィスアワーを開催したりと、各チームとの接点が増えるよう活動しました。
これらの取り組みにより、活動の幅とスピードが大きく広がりました。
■ 対象聴衆とその人たちが得られるもの
■ なぜこのトピックについて話したいのか(モチベーション)
さまざまな試行錯誤の結果、チームがうまく回り始めたと実感しており、"Challenge SRE!"というテーマはまさにうってつけだと思ったため。