DBREって何やってるの?〜アンドパッドにおける定義と実情と今後〜 by くぼ

SRE Kaigi 2026
セッション(30分)

DBREって何やってるの?〜アンドパッドにおける定義と実情と今後〜

amamanamam くぼ amamanamam
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■ 発表カテゴリ

・Practices: SREの実践例と得られた教訓

■ 発表概要(400字程度)

SRE関連のイベントに参加すると「DBREって何やってるの?」とよく聞かれます。SREという言葉は定着してきましたが、DBRE(Database Reliability Engineer)という職種はまだまだ馴染みがないかもしれません。このセッションでは、アンドパッドでDBREという専門職がどのように必要とされ、どのような経緯でチームが立ち上がったのか、そのルーツから紐解きます。 また、一般的なDBREの定義と、その定義に含まれるものの、私たちがまだ十分に注力できていない役割とのギャップを語り、DBREが組織にもたらす価値と、今後の展望についてお話しします。データベースの安定運用に悩むすべての方に、DBREという選択肢とその可能性を示します。

■ 発表の詳細(1000字程度)

アンドパッドには多数のプロダクトとそれを支えるデータベースが存在します。これらのデータベースを、少人数かつ専門のチームでいかにして安定運用しているのか、その実情と歩みをお伝えします。

  1. DBREチームの誕生と歴史
    DBREは、まだ多くの組織にとって馴染みのない職種です。アンドパッドでも、当初からDBREという専門チームがあったわけではありません。このセクションではDBREが必要になった背景とチーム形成のルーツを紹介します。

  2. DBREの一般的な定義とアンドパッドでの実情
    このセクションではDBREとは何か?を書籍や一般的な定義をベースに解説します。 また、それに対して「現実的にやっていること」を紹介しつつ、一般的な定義とのギャップを具体例を交えてお話しします。また、現在のDBRE体制が組織にもたらしている価値についても言及します。

・DBREって何やってるの?: DBREのタスク事例を共有し、日々どのようにデータベースの安定性を守っているのか解説します。具体的には直近の課題に対するタスクを紹介しつつ、定義におけるDBREの担当分野(プラットフォーム構築、自律化、自動化推進による生産性向上など)のどの部分を担っているのかを説明します。例えば、DBREで過去に行ったpt-online-schema-chanegeの導入と推進は「開発者の生産性向上」に該当します。このようなタスクと役割定義のマッピングを解説します。

・定義と実情のギャップ: 上記のタスクに対するDBREの担当分野のマッピングを参考に、現状アンドパッドのDBREはどの分野をカバーできていないかを説明します。つまり「理想のDBRE像」と「現実的にやらざるを得ないこと、やれていないこと」の乖離について語ります。例えば、現状「開発チームに対する教育」は個別の問い合わせ対応にとどまっています。

・DBREがもたらす価値: 上記のギャップがありつつも、DBREの専任化が組織にもたらした価値について説明します。具体的にはデータベース運用をトラブル対応中心(事後)から予防的な戦略(事前)へと進化させました。この変化により、開発者はマイグレーションレビューやパッチ適用などの重い運用作業から解放され、本来のプロダクト開発に専念できるため、生産性が大幅に向上しました。また、専門チームがアラート対応や相談に迅速に応じることで、データベースの安定性と信頼性が格段に高まっています。

  1. アンドパッドのDBREの今後の展望
    前章で解説したギャップに今後どう対応していくのか、何を目指していくのかを解説していきます。ただし、ギャップは必ずしも直ぐに埋める必要はなく、取捨選択こそが重要です。最終的な軸は「顧客からの信頼性を得る」ことにあるため、その信頼性担保に必要なアクションを選び取るべきだと考えます。そこで、アンドパッドのDBREが何を選び、何を捨てるのか、1つ1つのギャップに対して今現状必要かを吟味した結果を解説します。

■ 対象聴衆とその人たちが得られるもの

対象聴衆:
SRE、ソフトウェアエンジニア、CTO、VPoE、エンジニアリングマネージャーなど、サービスやデータベースの安定運用に関わるすべての方。

得られるもの:
・SREチームの一部をDBREチームとして切り出すべきか判断する材料を提供する
・自社でDBREチームを立ち上げる際のヒントや、組織の課題解決の糸口

■ なぜこのトピックについて話したいのか(モチベーション)

「DBREって何やってるの?」という疑問は、普段イベントで多く聞かれる質問です。このことから、多くのエンジニアがDBREという職種に興味を抱きつつも、その実態がまだ知られていないことを痛感しました。 私自身がこれまでに実践してきたこと、チームとして歩んできた道、そして「DBREの定義と実情のギャップ」をどう埋めていくかという私たちの課題意識を共有することで、DBREという専門職の必要性と可能性を広めたいと考えています。そして、データベースの安定性向上に悩む方々の助けになりたいという強い思いから、このテーマを選びました。