SREの民主化への挑戦 - 国産サービスが実現する全員参加型の信頼性エンジニアリング by 菊池宣明

SRE Kaigi 2026
セッション(30分)

SREの民主化への挑戦 - 国産サービスが実現する全員参加型の信頼性エンジニアリング

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■ 発表概要(400字程度)

SREの実践は専門チームだけのものでしょうか?海外製の高機能なツールスタックが主流の今、あえて国産サービスを選ぶことで、組織全体でSREを実践する「SREの民主化」について提案します。
多くの組織では、高機能なツールの複雑さゆえにSREチームの専売特許となっています。しかし、国産サービスが持つ「ちょうどよさ」と「とっつきやすさ」により、開発者もプロダクトオーナーも誰もが信頼性向上に貢献できる文化を構築できます。
本セッションでは国産サービスを活用した「SREの民主化」の実践方法を紹介します。専門知識がなくてもダッシュボードを操作し、システムの健全性を理解できるようになることで、全員がSREマインドを持つ組織へと促しましょう。

■ 発表の詳細(1000字程度)

従来のSREは特別な訓練を受けたエンジニアによって取り組まれており、海外製の高機能なツールスタックがその傾向を強めてきました。しかし、信頼性向上には組織全体の参画が不可欠です。本発表では、国産サービスの特性を活かしてSREを組織全体に広げる「SREの民主化」というアプローチを提案します。

なぜ国産サービスがSREの民主化を可能にするのでしょうか。海外製ツールの多機能性は、逆にSRE実践の参入障壁となっています。これらのツールは確かに強力ですが、その設定や運用には専門的な知識が必要です。一方、国産サービスは「必要十分な機能への絞り込み」「自然な日本語UI/UX」「充実した日本語ドキュメント」という3つの特性を持ちます。これにより、学習コストが大幅に削減されており、初心者でも迷わない設計になっています。

本セッションでは、国産サービスを活用してどのように「SREの民主化」をしていくのか示します。特に重要なのは、国産サービスのシンプルさと分かりやすさを活かして、開発チーム自身が主体的に実践できるようになるプロセスです。自分たちのサービスの信頼性に対する当事者意識を持ち、プロアクティブな改善活動を行うことで、組織全体でSRE文化が醸成されるのです。

実際に多くの日本企業が海外製ツールの導入後その複雑さに苦戦しており、一部の機能しか使いこなせていない、SREチーム以外は触れることすらできない、という声をよく耳にします。国産サービスは、日本の組織文化と開発現場の実情を理解した上で設計されているため、このような事象を回避できます。

SREの民主化は組織の信頼性文化を根本から変革する挑戦です。国産サービスの活用により、SREを「特別な人たちの仕事」から「全員で取り組む文化」へと転換できます。海外製品に依存しない「全員参加型のSRE」という取り組みで、SREの新たな可能性を切り開き、より多くの組織で信頼性向上を実現していきましょう。

■ 対象聴衆とその人たちが得られるもの

対象聴衆

  • SREチームを立ち上げたいが、専門人材の確保に悩んでいるエンジニアリングマネージャー
  • SRE文化を組織全体に広げたいSREエンジニア
  • 開発チームでもSREプラクティスを実践したい開発者
  • 小規模チームでSREを始めたいスタートアップのエンジニア

得られるもの

  • 国産サービスを活用したSRE実践の具体的な方法
  • SREの専門知識がなくても始められる信頼性向上のアプローチ
  • 組織全体でSRE文化を醸成するための実践的な施策
  • 日本の組織文化に適したSREの導入・展開方法
  • 高額な海外製ツールを使わずに始められるSREの第一歩

■ なぜこのトピックについて話したいのか(モチベーション)

SREは本来、システムの信頼性を組織全体で向上させる取り組みです。しかし現実には、高度な専門知識と高額なツールが必要とされ、多くの組織でSREチームだけの活動に留まっています。

私はこの状況を挑戦すべき課題だと考えています。国産サービスの「わかりやすさ」と「使いやすさ」を活かすことで、SREを民主化し、全員が信頼性向上に貢献できる文化を作れると確信しています。

日本での文化的背景を活かし、海外とは異なる「全員参加型のSRE」というアプローチを提示をしたいです。