SRE不在から始めたDatadogと歩んだObservabilityへのチャレンジ史 by 荒川聖悟

SRE Kaigi 2026
セッション(30分)

SRE不在から始めたDatadogと歩んだObservabilityへのチャレンジ史

adsholoko 荒川聖悟 adsholoko
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■ 発表カテゴリ
Case Studies: 実際の導入事例や失敗談

■ 発表概要(400字程度)

any株式会社は、個人のノウハウを引き出し、組織全体のパフォーマンスを最大化するAIナレッジプラットフォーム「Qast」を開発しています。2023年末時点のエンジニア組織は正社員5名ほどで、全員がアプリケーションエンジニア出身。シリーズBの資金調達も控える成長フェーズの中、大規模化するWebアプリケーションに対するObservabilityは大きな課題でした。

SREが不在だったからこそ、実績のあるツールを最大限活用するべくDatadogを採用するまでの変遷、そしてDatadogとともに2年間で取り組んだ全てのObservabilityに関する取り組みを、良い点も課題も包み隠さず、ご紹介したいと思います。本職SREの方々からすれば、拙い仕組みかもしれません。しかしながら、機能開発に集中しつつも、SREの取り組みをゼロから作り上げた進め方を紹介します。

■ 発表の詳細(1000字程度)

弊社の「Qast」においては、ObservabilityのツールとしてDatadogを採用し、非常に幅広く活用を推進しています。

より具体的には、

  • 分散アプリケーションのトレーシング(Datadog APM)
  • データベースのメトリクスモニタリング(Datadog Database Monitoring)
  • エラーログの集約、Slackアラート通知(Datadog Error Tracking)
  • 死活監視(Datadog Synthetics)
  • SLO関連のメトリクス取得(Datadog Dashboard)
  • クラウド費用モニタリング(Datadog Dashboard)
  • アプリケーション静的解析(Datadog SCA)
  • 監査ログのセキュリティ監視(Datadog SIEM)
  • リアルユーザーモニタリング (Datadog RUM)

といった幅広い活用をDatadog単体で行っています。現時点ではこれらによって機能の保守運用において、調査の要となるツールとなっています。SREが不在の中で、ここまで幅広い活用ができている状態を作り上げるためには、機能のみならず非常に多くの苦労がありました。

この発表においては、下記の内容でご紹介をしたいと思います。

  1. 2023年時点での「Qast」におけるObservability観点の課題と未来
    1. 抱えていた課題と実際におきた問題やインシデント紹介
    2. なぜDatadogを選んだのか?
  2. 2024年-2026年におけるQastとDatadogでの機能導入の取り組み
    1. 各種機能の検証と導入に至るまで
    2. 実際の活用事例を具体的に
    3. 導入に至らなかった、途中解約した機能の紹介
  3. SRE不在でObservabilityを導入する
    1. Observabilityに投資する時間の捻出方法
    2. Datadogカスタマーサクセスや上長などのステークホルダーの巻き込み方
  4. 今後の展望
    1. Datadogを越えたSRE文化の醸成
    2. 今後のanyにおけるSREの取り組み

■ 対象聴衆とその人たちが得られるもの

対象聴衆

  • SREが不在のなかでもスタートアップでObservabilityを高めたい方
  • Datadogをフル活用した場合の具体例を知りたい方

得られるもの

  • SRE不在でもObservabilityを推進できた事例と実践的な工夫
  • 成功と失敗の両面を含んだリアルな学び

■ なぜこのトピックについて話したいのか(モチベーション)

SREが不在の中、Observabilityのツールは一長一短あるなかで、「アプリケーションエンジニア」目線で、Datadogの導入を進めてきました。私自身はこれまでのキャリアにおいても、anyにおいてもSREという肩書きで仕事をしたことはありません。

しかしながら、我々のようなスタートアップでは、SREといった専門職がいないなかでも成し遂げられたObservabilityの進め方に関するヒント、Datadogという具体のツール例をお伝えすることで、似たような境遇の方々のObservabilityへの取り組みを後押ししたいです。

Datadogというツール自体が重要なのではなく、あくまでもこのツールを通して、Observabilityをいかに推進したかをお伝えし、今回のテーマである「Challenge SRE」のなかでも「SREを前に進めるための挑戦を応援する」ための一助になることを願っています。