矛盾と向き合いながら成果を出す SRE チームの運営 by mani3

SRE Kaigi 2026
セッション(30分)

矛盾と向き合いながら成果を出す SRE チームの運営

mani3
3

■ 発表カテゴリ
・Culture: SRE文化の醸成と組織変革

■ 発表概要(400字程度)
SRE チーム(リライアビリティ&セキュリティチーム)の組成から2年、エンジニアリングマネージャ(以下 EM)として人・チーム・技術の間の矛盾(成果で評価したいが測りにくい/スクラムで個のブレイクスルーが発生しにくい/横断課題を見つけたいがプロダクト理解が浅い)に直面しました。矛盾と共存しつつ、成果に結びつけるための SRE チームの運営の実践を共有します。

■ 発表の詳細(1000字程度)
【背景】
横断的な技術課題を解決するために SRE チーム(現在4名)を立ち上げました。立ち上げ当初、弊社では IaC の分散管理、監視基盤の一貫性の欠如、デプロイとバッチジョブの安定性問題といった課題が山積でした。これらを解決するプラットフォームチームとしてSREチームを組成しました。

【直面した矛盾】
EM として、単なる課題解決ではなく、持続可能なチーム運営と明確な成果の両立が求められました。
その過程で次の3つの矛盾に直面しました:

  • (人) 高いスキルを持っているが、成果に結び付かず評価が難しい
  • (チーム) スクラム導入で属人性を排除できた反面、個人のブレイクスルーが発生しにくい
  • (技術) 横断課題を見つけたいが、各プロダクトの理解が浅い

【解決アプローチ】

  1. 人への対応:
    チームミッション → KPI ツリー → 個人ミッションに分解し、各メンバーのグレードに対する期待値を明文化。定量化しづらい成果もどのような影響をもたらしたかという観点で評価
  2. チームへの対応:
    バックログを全員が起票しオーナーを設定。担当者は柔軟に変更可能で、成果責任はオーナーが持つ体制。ゴール(期待される成果)の認識を合わせ、実現方法はメンバーの裁量に任せる。
  3. 技術への対応:
    プロダクト開発チームとの協働を強化し、クリティカルユーザジャーニー(CUJ)からSLI、SLOを共同で設計。プロダクトへの理解を深めながら、適切な優先度で横断的課題に取り組める土台を形成。

【まとめ】
SRE のプラクティスをチーム運営に適用することで、矛盾を受容して成果に結びつける取り組みをしています。このアプローチは、 SRE チームに限らず、様々なエンジニアリングチームの運営に使えると考えています。

■ 対象聴衆とその人たちが得られるもの

  • SREチームのEM/マネージャー → 矛盾に対処しながらチームを成長させる実践的フレームワーク
  • SREチームメンバー → 個人の成果とチーム貢献を両立させるためのマインドセット

■ なぜこのトピックについて話したいのか(モチベーション)
SRE の話というよりはマネージメントの話に近いですが、人とチームの運営という視点を共有することで SRE 文化に貢献できればと思います。