Platform EngineeringがあればSREはいらない!? 新時代のSREに求められる役割とは by 渋谷 充宏 / 那珂 将人

SRE Kaigi 2025
採択
2025/01/26 16:35〜
ルーム A
セッション(30分)

Platform EngineeringがあればSREはいらない!? 新時代のSREに求められる役割とは

m4buya 渋谷 充宏 / 那珂 将人 m4buya
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■ 発表カテゴリ
・Future: SREの未来と新しいトレンド

■ 発表概要(400字程度)
「Platform Engineeringが成熟している組織ではSREは不要ではないか」という疑問が存在します。確かに、Platformが成熟すると、開発者とPlatformだけでReliabilityを担保できるように見えますが、実際にはさまざまな課題が存在します。本発表では、Platform EngineeringとSREの役割を共に考える必要性について探求します。メルカリでの新規事業立ち上げの具体例を通じて、SREがどのように関与し、どのような方向性を持っているのかを紹介します。これにより、Platform Engineering時代に求められるSREの効果的な役割を考察し、未来へのビジョンを共有します。

■ 発表の詳細(1000字程度)
「Platform Engineeringが成熟している組織ではSREは不要ではないか」という疑問が存在します。確かに、Platformが成熟すると、開発者とPlatformだけでReliabilityを担保できるように見えますが、実際にはさまざまな課題が潜んでいます。

まず、Platform Engineeringが様々なサービスやツールを提供するようになると、それに伴い認知負荷が増加します。開発者は多様なツールを効果的に使いこなすために時間を割く必要がありますが、その結果、もしサービス改善に充てる時間が減ってしまうと、本来の開発業務に集中できなくなります。このような状況は特に新しいツールやフレームワークが追加されるたびに起こりやすく、開発者の生産性に悪影響を及ぼすのです。

Platform Engineeringは多数のサービスチームを相手にするため、各サービスチームとの距離を縮めるのは非常に難しいという課題も抱えています。ユースケースや各チームのニーズを的確に吸い上げ、適切なソリューションを提供するのは容易ではありません。開発者が実際に求めている機能とPlatform Engineeringの将来的な方向性が必ずしも一致するとは限らないため、ミスマッチを生むリスクも存在します。

このような課題をBridgeとして埋めていくのがSREの役割であると我々は考えています。SREはEnabling Teamとして、サービスチームと一体となり、提供されるサービスに対する責任を持ちながらPlatform Engineeringと密に関わります。具体的には、サービスチームとのコミュニケーションを強化し、フィードバックを収集することで、実際のニーズや課題に基づいた改善を行うことが求められます。また、SREがPlatform Engineeringの一部の改善に関与することで、組織全体として効率的に機能するための仕組みを作り上げることが可能になります。

結果として、SREは単なる運用管理者ではなく、Platform Engineeringの成長とともに進化し、その中で重要な役割を果たす存在であることを示します。SREの活動を通じて、個々のサービスチームがより高い可用性と生産性を実現できるよう、さらに進化するための道筋を示したいと考えています。

■ 対象聴衆とその人たちが得られるもの
SREチームなどでSREのより効果的な実践を行う方法を模索しており、そのための手段としてPlatform Engineeringに注目している方々がターゲットとなります。
Platform Engineeringが確たるトレンドとなりつつある今、その中でSREだからこそ果たすことができる役割があることを認識し、その知見を持ってそれぞれのPlatform Engineering/SREの実践にフィードバックしていただけることを期待します。

■ なぜこのトピックについて話したいのか(モチベーション)
今回の発表では、メルカリSREとメルカリハロSREの2人が発表者となります。Platform Engineering時代のSREの新しい役割について、新規事業である「メルカリ ハロ」の立ち上げを具体例としてとりあげ、その裏側を紹介します。
もとよりメルカリグループではPlatform Engineeringの持つ力に注目し、比較的早い段階から注力してきました。一方、Platform Engineeringの進展とともにSREの果たすべき役割も徐々に変化しつつあると感じており、最適な姿がどうあるべきかを模索している段階です。
そういった状況の中、ゼロから新規事業を立ち上げる際に、どのように今までメルカリが10年間積み上げてきたPlatform Engineeringの資産を活用し、プロダクトのスピーディーな立ち上げにつなげた試みについて紹介し、フィードバックを得たいと考えています。
ハイレベルに抽象化されたas a serviceを提供するPlatformチームとビジネス価値をいち早く市場に届けるプロダクト開発チームの間で、開発者の現実課題をPlatformを駆使して解決に導き、安定稼働を実現するためにSREができることが何なのか。Platform Engineeringの持つポテンシャルを最大限に引き出すためのSREとしての関わり方について、活発な議論につなげていきたいです。