事業貢献を考えるためのSREの目標設計 by 大曲智久

SRE Kaigi 2025
セッション(30分)

事業貢献を考えるためのSREの目標設計

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■ 発表カテゴリ
・Culture: SRE文化の醸成と組織変革
SREsとソフトウェア開発チームの協働事例

■ 発表概要(400字程度)
SREの目標設計において、技術改善チーム(SRE)は「挑戦する全てのプロダクトチームのエンジニアの背中を支える」ことをミッションとしています。組織はプロダクトチームと技術改善チームで構成され、SREチームはプロダクト戦略と技術戦略の双方の意図を汲み込んだ「プロダクト技術戦術」を中心に活動します。
そうすることで、SREチームがどう技術改善を行い、事業貢献につなげていくかを考えており、単なる技術の改善だけでなく、プロダクトチームの生産性向上・事業貢献することを意識しています。具体的には、SLI/SLO策定やレガシーシステムのモダナイズ、DevOpsのパイプライン改善、技術的なガイドライン策定などを行います。

■ 発表の詳細(1000字程度)

技術改善チーム(SRE)のミッション紹介

技術改善チーム(SRE)のミッションは「挑戦する全てのプロダクトチームのエンジニアの背中を支える」ことです。
SREはプロダクトチームを陰で支え、その生産性や開発速度を向上させる役割を担っています。
このミッションを達成するために、SREが事業貢献を目指し、プロダクト技術戦術に基づいて活動しています。

組織体制の概要

組織は「プロダクトチーム」と「技術改善チーム」の二つで構成されており、それぞれ異なる役割を持ちます。
プロダクトチームはプロダクト戦略の遂行を、SREはそのプロダクト戦略と技術戦略の両方に貢献するためのプロダクト技術戦術を担います。

目標設計の仕組み:プロダクト技術戦術の定義と位置付け

目標設計には「プロダクト戦略」と「技術戦略」が存在し、技術改善チームの活動は「プロダクト技術戦術」として具現化されます。
「プロダクト技術戦術」とは、プロダクト戦略に対して技術的な側面からどう貢献するかを具体化したものです。
これにより、技術改善チームはプロダクト戦略と技術戦略の橋渡しとして活動し、技術改善を事業貢献に結びつけています。

プロダクト技術戦術の具体例

SREの具体的な活動として、以下が挙げられます:
モダナイズとSLI/SLO策定:
レガシーシステムのモダナイズをイベントストーミングなどで行い、システムの信頼性指標(SLI/SLO)を策定(Perlの20年超のシステムの例)。
https://blog.engineer.adways.net/entry/2024/04/26/170000

DevOpsパイプライン改善:
Ansibleパイプラインの再定義やTerraformリポジトリの分割、フロントエンドへのFeature Flagの導入など。

テンプレートリポジトリ運用:
プログラミング言語ごとにテンプレートリポジトリを整備し、開発効率を向上。

プロダクト技術戦術の重要性と推進メンバー

「プロダクト技術戦術」を推進するためには、プロダクトチームのエンジニアや技術責任者、
PdE(プロダクトエンジニア)などが協力し、技術戦術の策定・実行をリードします。
議論・合意のプロセスには、プロダクト戦略と市場状況への理解、技術選定能力が求められます。

技術改善活動の共有とプロダクト技術戦術運用のポイント

技術改善活動の成果は、プロダクトチームと共有されることが重要です。
技術改善によってプロダクトの品質や速度がどう変わるのかを定期的に伝え、改善活動の重要性を理解してもらいます。
また、プロダクト戦略や技術戦略に変更があった際には、プロダクト技術戦術の見直しと更新が求められます。

SREチームでのガイドライン策定と役割

SREチームは、プロダクト開発への技術的貢献を意識し、開発ガイドラインの策定やプロダクトチームの開発体験の改善をリードします。技術改善のプロジェクトのタスクを単に遂行するだけでなくプロダクトチームの生産性向上や未来への開発サポートを重視します。そのため、プロジェクトの最後にドキュメント(ガイドライン整備や仕様書整備)と向き合うことを各チームで行っております。また、PdMと共感を形成し、プロダクト戦略と技術戦略の理解を深めることが求められます。

■ 対象聴衆とその人たちが得られるもの
・SREチームの目標設計を考えるエンジニアリングマネージャー

■ なぜこのトピックについて話したいのか(モチベーション)
・SREや技術改善を通した行動がどう事業貢献につながるかを考えているのかを共有したい