Platform Engineeringから始めるSRE by 徳原 晋一

SRE Kaigi 2025
セッション(30分)

Platform Engineeringから始めるSRE

徳原 晋一
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■ 発表カテゴリ
・Case Studies: 実際の導入事例や失敗談

■ 発表概要(400字程度)
estieは「産業の真価を、さらに拓く。」をPurposeとして商業用不動産のDXを推進している100名規模のスタートアップです。
estieではSREを含めたPlatform Engineeringを実践し、開発生産性と信頼性を同時に追っています。本セッションでは、この活動で得られたナレッジやプラクティスを紹介します。

発表内容:

  • 横断課題組織とSRE組織が一つに統合。そのPlatformチームに起きた変化とは
  • プロダクトチームにどのような好影響があったか
  • SREを進める上で再認識できた課題と、その解決ができるPlatform Engineeringとは

■ 発表の詳細(1000字程度)
2024年、estieでは、横断課題組織とSRE組織を統合し、新たにPlatformチームを発足しました。本発表では、このチームで取り組んできたSREおよびPlatform Engineeringの活動、そして得られた知見を共有し、スタートアップにおけるSRE/Platform Engineeringの一つの姿を提示できればと思います。

発表内容:

これまで、横断課題組織では以下のような開発生産性向上の取り組みを行ってきました。

  • 開発環境を5分で立ち上げるツール開発
  • 複数プロダクト間の連携が増える中、手元PCでの開発効率化を支えるツール開発
  • Pull RequestをトリガーにPreview環境を立ち上げる仕組みの導入

これにより、プロダクト開発のスピードを大幅に向上させることができました。一方、SREは、顧客に安定した環境を提供するため以下の対応に取り組んできました。

  • インフラ構成の見直し
  • 監視・モニタリングの適正化
  • Datadog管理やログの一元管理

当初、これらの組織は独立して運営されていましたが、時間が経つにつれて、カバーする領域の重複や協力が必要な場面が増え、プロダクト開発チームからも相談先がわかりにくいという課題が顕在化してきました。そこで、両組織を統合し、信頼性と開発生産性の両軸を担う「Platformチーム」が誕生しました。
2024年にこのチームでは、サービスローンチ前後のプロダクトに対して、横断課題組織とSRE組織が持っていたツールをプロダクト開発チームに定着させ、開発チームが独立して動ける体制を整えてきました。この取り組みを通じて得られた学びは次のとおりです。

  • 信頼性向上のためにPlatform Engineeringの手法は非常に有効である(SREとPlatform Engineeringは高い親和性を持つ)
  • SREは「片手間」でできるものではない
  • 信頼性と開発生産性の二軸を追うことの重要性。一つのチームでこれらの指標を同時に追求することは、大きな成果を生む。

これらの知見を具体的に紹介し、セッションでは参加者とのディスカッションを通じて、より良いSREの実践方法を探っていきたいと考えています。

■ 対象聴衆とその人たちが得られるもの
対象:
SRE初学者(SREが気になっているソフトウェア開発者含む)

得られるもの:
信頼性を高める上でPlatform Engineeringの手法は使える
SREは片手間でできないよという一つの教訓
信頼性と開発生産性の2軸を一つのチームで指標として追うのは良いぞ

■ なぜこのトピックについて話したいのか(モチベーション)
スタートアップで少人数ながらSREを担っている人は多くいます。私自身も初めてスタートアップに転職し、SREとして働き始めましたが、スタートアップ特有のスピード感と同時に求められる高い信頼性の維持という課題に直面しました。その中で、SREとPlatform Engineeringの両方を実践することで、大きな成果を上げることができると確信しました。この経験をぜひ皆さんに伝えたいと考えています。