20年モノの巨大Webサービスの開発継続戦略 - ミドルウェアのバージョンアップとの向き合い方 by やなせ たかし

PHP Conference Japan 2021
採択
2021/10/02 14:55〜
Track3
Regular session (25 mins)
Service Development Architecture Infra / Middleware / Cloud

20年モノの巨大Webサービスの開発継続戦略 - ミドルウェアのバージョンアップとの向き合い方

penguin_no_045 やなせ たかし penguin_no_045

私たちのサービスはローンチから20年を超え、現在も積極的に開発中です。幸いにも今まで多くの方に使われるサービスとなっています。しかし、これだけの年数を経て多くの機能を追加しているため、典型的な「レガシーシステム」となっているのが現状です。
もちろん、開発時にはさまざまな課題があり、完全に解消することは難しいです。それでも、大規模なサービスを維持していくためには開発を継続することが重要です。

本セッションでは、大規模なレガシーシステムを継続して開発していくために取っている戦略の中で、ミドルウェアのバージョンアップに関する戦略を中心にお話します。

ミドルウェアのバージョンアップは、通常の機能開発とは大きく異なります。たとえば、サービス提供を続ける限り避けて通れないものですが、新たな価値を発生する者ではありません。そのため小さな機能追加などで積極的にバージョンアップをすることは難しく、EOLに合わせると、PHPの場合は2年に1度のバージョンアップになります。
そして、広い範囲の既存コードに手を加える可能性があります。バージョンの間が開くと修正箇所も当然増えます。いわゆるレガシーシステムであれば、影響範囲はアプリケーションすべてといっても過言ではないですし。修正が重複する個所すらあるかもしれません。
この影響範囲の広さが、レガシーシステムのミドルウェアバージョンアップを難しいものにしています。

それを考えずに、通常の開発と同じようにミドルウェアのバージョンアップをすることは困難で、正面から挑むだけでは無限の時間とコストがかかります。
現実世界には時間、コストなど、さまざまな制約があります。これはビジネスでサービス提供をしている以上当然避けられず、その中で戦わなければいけません。
となると作り直すのも現実的ではないすし、だからといって場当たり的な対応だけでは、技術的負債を抱え込んで開発の継続が困難になるかもしれません。
広範囲で複雑な問題には、取捨選択が必要です。いまある複雑な問題は、今この場面で対応すべきことではないかもしれません。
このように、普通の機能開発とは異なる困難さ、複雑さをもっています。これに立ち向かうためには、戦略をもって挑まなければなりません。

本セッションは、ミドルウェアのバージョンアップ事例の紹介とそのプロジェクトで採用した戦略についてお話します。
事例紹介では、直近実施した2件のバージョンアップ(PHP,PostgreSQL)の事例を紹介します。その中では現実の制約に沿った形でプロジェクトを推進するためのゴールの設定、事前準備、実際の作業プロセスについてお話します。
そして紹介した事例をより一般化し、レガシーシステムの開発を継続していくための戦略を紹介します。

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