iOSDC Japan 2025
LT(5分)

HyperCard温故知新

oinariman 三原亮介 oinariman
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2025年6月5日、ビル・アトキンソン氏が亡くなりました。彼は初代MacintoshのグラフィックAPI QuickDrawを開発した人物で、MacPaintの開発者としても知られています。本LTでは、彼が1987年に生み出したHyperCardというソフトウェアを紹介します。

HyperCardは、Macintosh用のオーサリングツールです。「カード」と呼ばれる画面を組み合わせて、インタラクティブなコンテンツを作成できました。プログラミング知識がなくても、ボタンやテキストフィールドを配置し、絵を描き、カード間をリンクでつなぐだけで何かを作れます。さらにHyperTalkというスクリプト言語で、より複雑な動作も実現できました。

当時のMacintoshに無料バンドルされていたこともあり、教育現場からアート作品、ゲームまで多様なコンテンツが生み出されました。インターネット普及前にハイパーリンクでカードを繋ぐ概念は、ローカルで動くWWWのようでした。Cyan社の名作ゲーム「Myst」もHyperCardで開発されたことは、その可能性を物語っています。

実際の画面をざっと見せながら、HyperCardがどんなソフトウェアだったか紹介します。カード、ボタン、フィールド、ペイントツール、HyperTalkスクリプト。これらがどう組み合わさって動作していたのか解説します。また、もしスティーブ・ジョブズのApple復帰後も開発が続いていて、幻のHyperCard 3.0がリリースされた世界線はどんなだったか、少しだけ思いを馳せてみます。