未来を拓く「修理する権利」 - iOSエンジニアにできること by Satsuki Hashiba

iOSDC Japan 2025
レギュラートーク(20分)

未来を拓く「修理する権利」 - iOSエンジニアにできること

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自転車のタイヤがパンクしたら、あなたはどうしますか?自転車屋に持っていって修理してもらうか、あるいは自分で直してしまうかもしれません。まさか自転車ごと買い替えるなんてことはしないですよね。では、iPhoneの画面が割れたら?あれ、買い替えるかも…?

こう考えてしまうのには訳があります。私たち消費者を修理から遠ざける要因が、ハードウェアの設計やソフトウェアの制限、知的財産権、さらにはマーケティングメッセージにまで、至るところに潜んでいるのです。例えば、AirPodsのネジがない設計は、修理の第一ステップである「デバイスを開ける」ことをほぼ不可能にしています。

修理の疎遠化は企業に大きな利益をもたらす一方で、消費者には経済的負担を、地球には環境負荷を与えています。こうした状況を打破するために、「修理する権利」を求める運動が、欧米やヨーロッパを中心に世界中で広がっています。もちろんAppleも例外ではありません。

本セッションでは、次のような内容をお話しします。

  • なぜ修理が重要なのか?
  • Apple製品から修理を遠ざけている要因たち
  • 「修理する権利」を求める運動と、それを受けてAppleが変えたこと
  • 日本で「修理する権利」を阻む壁: 技適
  • 私たちiOSエンジニアにできること: Minimum deployment targetを再考する

修理がもたらすのは、金銭的・環境的価値だけではありません。修理は、デバイスの仕組みをより深く理解することに役立ち、自分が所有するモノを最大限に使いこなすことを可能にします。Appleプラットフォームでサービスを提供する者として、「修理する権利」について一緒に考えましょう。