位置情報アプリの舞台裏 〜空間データとアルゴリズムで地図を操る技術〜 by 綾木 良太

iOSDC Japan 2025
レギュラートーク(20分)

位置情報アプリの舞台裏 〜空間データとアルゴリズムで地図を操る技術〜

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本セッションは、位置情報アプリを開発しているエンジニア、あるいは位置情報データの効率的な扱いに関心のあるエンジニアを対象とし、アプリ開発の現場で直面する課題をもとに、位置情報の取り扱いに必要なデータ構造やアルゴリズムの実践知識を紹介します。

位置情報アプリでは、ユーザーの位置をもとに地図上に線や領域を描画したり、特定の場所が移動禁止エリア内にあるかを判定する機能が求められます。しかし、これらの処理は地図データの量が膨大であること、位置情報が連続的かつリアルタイムで変化することから、パフォーマンスやデータ効率の観点で多くの課題に直面します。

本セッションでは、こうした課題を解決するための具体的な技術として、以下の内容を解説します。
• Google Mapsで使われている「Encoded Polyline algorithm」:ポリラインやポリゴンを効率的に表現し、データ転送量を削減する方法
• Point in Polygonアルゴリズム:特定の位置がポリゴン内に含まれるかどうかを判定する仕組み
• 位置をポリゴン外に押し出すための最短距離計算アルゴリズム:ポリゴンの外にある「最近傍点」を求めるための幾何計算手法
• 凸包アルゴリズム:簡易的に複数のポリゴンを合成する手法

これらの技術は、単なる理論ではなく、アプリ開発の現場で実際に役立つ知識として紹介します。ポリゴン内判定の最適化や地図上でのオーバーレイ描画の工夫など、具体的な課題解決の実例を交えながら、技術の必要性と効果をわかりやすく伝えます。

聴講後には、位置情報アプリのデータ構造・アルゴリズムの実践的な知識が身につきます。