SwiftUIでの開発は、宣言的で簡潔な記述ができる一方で、画面が大規模・複雑になるにつれて思わぬ設計課題に直面することがあります。多くの開発者は、以下のような課題に直面することも多いでしょう。
SwiftUIの宣言的な記法は一見シンプルで強力ですが、実際の開発現場では、構造の複雑化や保守性の低下といった課題が顕在化しやすくなります。たとえば、1つの画面に複数の状態や分岐が含まれる場合、ifやswitchの入れ子が増えてbody が肥大化し、Viewの構造を把握するのが困難になります。また、共通化を目的にViewを切り出しても、柔軟性を持たせようとするあまりPropsが増えてしまい、かえって使いづらくなることもあります。
このような問題に対する1つのアプローチが、「コンポーネント指向」による設計です。UIを意味のある小さな単位として切り出し、それぞれが明確な責務を持つ自己完結型の部品として設計することで、再利用性や可読性を高めるとともに、状態管理の整理にもつながります。
とはいえ、SwiftUIにおけるコンポーネント設計は簡単ではありません。Propsが増えることでかえって複雑になることもあれば、状態やデータフローの設計次第で再利用性が損なわれることもあります。
本記事では、これらのSwiftUI特有の設計課題を整理しつつ、実際の開発の中で見えてきたコンポーネント指向設計の工夫や考え方を紹介します。宣言的UIで複雑な画面を設計している方、構造的なView設計に悩んでいる方の参考になれば幸いです。