iOSアプリ開発のデファクトスタンダードとなったライブラリ管理ツールCocoaPodsは、Swift Package Managerの成熟によりメンテナンスモードへと移行します。その主要リポジトリは2026年にはリードオンリー化が予定されており、事実上の開発終了フェーズに入ることになります。しかし、その影響と功績はAppleプラットフォームに限定されません。
本稿では、CocoaPodsがいかにiOS開発のライブラリ管理を簡素化したかを振り返ります。そして、CocoaPodsがなぜRubyで作られたのかについても掘り下げます。さらに、CocoaPodsのために開発された依存解決アルゴリズム「Molinillo」が、そのインスピレーション源であるRubyの主要パッケージマネージャーBundlerやRubyGemsに採用され、Rubyコミュニティを長年苦しめた依存関係地獄を大きく改善したという逆転現象に焦点を当てます。
CocoaPodsがSwift Package Managerへと主役の座を譲りつつある今、iOSアプリ開発を支え、Rubyエコシステム全体を変革したその物語を紐解き、パッケージ管理の重要性を再考する機会を提供します。