SwiftUI における Container views (以下「コンテナビュー」という)とは、複数の子ビューを内部に持ち、それらを管理・配置する役割を持つビューのことです。代表的なものとして、子ビューを縦方向に整列する VStack、横方向に整列する HStack、スクロール可能なリストを構成する List などが挙げられます。
WWDC24では、こうしたコンテナビューをより柔軟にカスタマイズできる新しいAPIが発表されました。これにより、たとえば「子ビューを横方向に整列しつつ、横幅の上限に達した場合に自動で折り返す HStack」のような独自のレイアウトコンテナを、SwiftUIの構文のまま実装できるようになります。
ただし、この新APIはiOS18以降でのみ利用可能です。iOS17以前をサポートするアプリは依然として多く、なかにはiOS16を対象とするアプリも少なくありません。
そこで、iOS17以前の環境でもSwiftUIらしい記述でカスタムコンテナビューを構築可能な、非公開APIである Variadic View に注目します。これを活用すれば、iOS16やiOS17をサポートする環境でも柔軟なレイアウトを実現できます。
本セッションでは、まずSwiftUIにおけるコンテナビューとは何かを説明し、その中で、コンテナビューを定義する際に重要な概念となる2種類のsubviews(Declared subviewsとResolved subviews)に触れます。その上で、iOS18以降で使える新しいAPIによってカスタマイズしたコンテナビューを定義する方法を実例を用いて紹介します。次に、Variadic Viewの仕組みを解説します。最後に、新APIにより実装したコンテナビューと同様のものをVariadic Viewを用いて定義する方法を詳しく解説します。