Actor境界はSwift concurrencyにおいてデータ競合を防ぐための強力な概念ですが、実際のアプリ開発においてはこれが障壁となることがあります。Actor境界を跨ぐデータの受渡は通常非同期で行われますが、これを同期的に行わなければならないことがあります。例えばレガシーなスレッドベースのAPIを使う場合、引数として渡すコードブロックにおいて、そのActor context外のデータに同期的にアクセスすることが必要になることがあります。
このトークでは、AVFoundationを用いてサウンドを再生する例を題材にして、こうしたケースにおいてもActor境界を安全かつ同期的に跨ぐ方法について説明します。Custom actor executorや、OSAllocatedUnfairLockやMutexといったロックAPIを用いることで、unsafeキーワードを用いることなくActor境界外のプロパティにアクセスし、Swift 6でコンパイル可能な実装方法を紹介します。
Swift concurrencyとともに、どんなAPIも安全かつ効果的に利用できるようになりましょう。