「ふつうのアプリ」とは何でしょうか。
ソーシャルネットワークMastodonのアプリを作る過程で、この問いと深く向き合うことになりました。
Mastodonは少し特殊なSNSです。サーバーの概念や公開範囲の複雑さ、サーバーごとの固有機能など、それらの仕様は直感的なものではありません。
実際にアプリをリリースしてみると、ユーザーが求めていたのはMastodonの機能を完璧に扱えるアプリなのではなく、直感的に使える「ふつう」のSNSアプリなのでした。
TwitterやInstagramのような既存のSNSで慣れ親しんだUIパターンを期待していたのです。
ここから学んだのは「ふつう」を実現することの難しさです。開発者にとって当たり前の操作でも、一般ユーザーにとっては全く理解できない可能性があります。
開発者やデザイナーは独創的なUIを作りたがりますが、ユーザーは慣れ親しんだパターンを求めています。重要なのは、新しい概念を既存のメンタルモデルに合わせることです。
これらは、もちろんMastodonのアプリに限った話ではありません。
このトークでは、アプリのUIデザインを考察した上で発見した「ふつう」の見つけ方、既存UIパターンの評価方法、そしてそれらを妥協せずに実装するための実践的なテクニックを紹介します。