既存の実プロダクトにおけるSwift Concurrency導入事例 by 吉岡 祐樹

iOSDC Japan 2024
レギュラートーク(20分)

既存の実プロダクトにおけるSwift Concurrency導入事例

rikusouda 吉岡 祐樹 rikusouda
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Swift Concurrencyは、非同期処理を便利にするSwiftの機能です。iOSアプリ開発においてゼロからの開発でこの機能を利用する場合は比較的スムーズに導入できますが、既存のアプリに導入する際にはさまざまな課題が発生します。我々のチームでは、開発効率向上を目指し、すでにリリースされているアプリにSwift Concurrencyを全面的に導入しました。

まず、API通信のような非同期で結果が返る処理をasync/awaitに変換することから始めました。具体的には、従来のCombineのAnyPublisherを戻り値としていた非同期処理をasync関数に置き換えました。次に、UI更新以外の処理をなるべくメインスレッド以外で実行する試みを行いました。例えば、データの読み込みや保存といったI/O操作をバックグラウンドスレッドで実行するように変更しました。

さらに、SWIFT_STRICT_CONCURRENCYオプションを有効にすることで、コンパイル時に非同期処理に関する潜在的な問題を発見し、修正することができました。

本トークでは、導入ステップの具体的な手順の紹介や、導入途中で遭遇した問題とその解決策、そして私たちのチームが採用したSwift Concurrencyの利用方針について詳細に説明します。また、導入後に得られた効果やメリットについてもお話しします。