2020年末、僕たちは「Appのプライバシーに関する質問への回答」の準備に追われていた。この情報が出た当時「アプリ担当者が、収集データと使用目的を調べれば良いよね」と呑気に構えていた僕は、同僚の発言で目が覚めた。
「集めたデータを別チームが分析に使っていたら、どうすれば良いんでしょう?」
弊社の提供する6つのiOSアプリから収集された様々なデータは、BigQueryとLookerが完璧に整えられた社内を縦横無尽に飛び交っていた。このデータ全ての流れを、利用目的を、利用部署を知っている人はいるのか。このトークでは1つ目のトピックとして、この調査プロジェクトについて話そう。
年は明けて2021年、なんとか「Appのプライバシーに関する質問への回答」を終えた僕たちは、広告SDKの更新やATTモーダルの実装を終え、iOS14.5にあわせて無事にリリースしていた。そして数週間後、一通のリジェクト通知が届く。
「XXXをトラッキング目的で使っているなら、ATTで許可をとりなさい。」
そのときようやく気がついた。世間ではATTについて「IDFAを取得できなくなる」点のみ語られていたが、実際はすべてのトラッキング用データに関係していた。普通に考えればApp Tracking Transparencyという名前から分かることだ。同時に思い出した。弊社のBigQueryやLookerには、iOSだけでなく、Android、Webのデータが混在して収集されていることを。そして、一体どれがATTで許可を得たデータなのか、誰にもわからないことを。
このトークでは2つ目のトピックとして、ATTにちゃんと対応するために始まった横断プロジェクトについて話そう。
※このトークでは『この場合はこの対応をすれば正解』といった具体的な例は話しません。