このトークでは、チーム開発における Hono と @hono/zod-openapi を活用したスキーマ駆動開発の具体的プラクティスを紹介します。私は現在、この構成を採用したプロジェクトに二つ参加しています。
ひとつ目のプロジェクトでは、フロントエンドとバックエンドの双方が TypeScript で実装され、いずれも Hono を利用しています。スキーマ定義は共有資産として扱われており、Hono が提供する RPC 機能を活用することで、HTTP レベルの詳細を意識せず型安全な関数呼び出しのように API を利用できる仕組みを整えています。
もうひとつのプロジェクトでは、フロントエンドは TypeScript、バックエンドは Kotlin で実装されています。現状スキーマはフロントエンドに置かれていますが、将来的には共有資産へ移行が検討されています。スキーマに基づいたレスポンス検証をフロントエンドに組み込むことで、バックエンドの実装とスキーマが乖離している場合に不整合を早期に検知できるようになっています。
両プロジェクトに共通するのは、フロントエンドがスキーマを基にモックを手動実装している点です。これによりバックエンドの進捗に依存せず開発を進められるほか、動的なレスポンスも柔軟に再現可能になっています。
これらの事例を通じて、スキーマをどのチームが所有すべきかという組織的な判断だけでなく、フロントエンド主体でモックを整備することによる独立性の確保、Hono の RPC 機能を活用した効率的な開発プロセスの実現、さらにスキーマとレスポンスの整合性検証による品質担保といった実践的な知見を共有します。
このトークを通じて、参加者が自身の開発現場において Hono を用いたスキーマ駆動開発をどう適用できるかを判断するための視点を持ち帰っていただければと思います。