Engineering Management Conference Japan 2026
セッション(40分)

コードの向こう側〜技術統括として事業を理解するまで〜

kzk_maeda 前田 和樹 kzk_maeda
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概要

技術統括責任者に就任し、技術戦略の立案が求められたとき、エンジニアとして持っていた事業理解の浅さを痛感しました。
プロダクト開発などで理解できていると思っていた事業の解像度では、経営上の技術戦略を立案するに際して経営層を説得できる戦略は描けません。
この理解度の乖離を埋めるため、以下7つのアプローチで事業理解を深化させました:

  1. 創業経営者への事業変遷ヒアリング:入社前から現在までの会社の歴史と意思決定の積み重ねを理解
  2. 事業部長との関係構築:定期的なコミュニケーションを通じて各事業の目指す方向性を把握
  3. 財務状況の自己学習:事業別P/L、5ヵ年計画から事業の現状と見通しを読み解く
  4. 収益モデルの因数分解:各事業のビジネスモデルから、技術やプロダクトが貢献できる箇所を特定
  5. 外部環境調査:競合・市場動向の把握
  6. 顧客との直接接触:商談同席、顧客アポによるリアルな課題理解
  7. リーンキャンバス作成:特に顧客視点でのキャンバス作成により解像度を劇的に向上

また、この過程で得た学びをエンジニア組織全体に展開し、個人の学習を組織の資産に変える取り組みも実施しました。
表面的な理解から経営視点での事業把握へと昇華させることで、事業理解に基づいた技術戦略立案ができる土台を構築しました。

想定リスナー

  • 事業戦略と技術戦略の接続に課題を感じているEM
  • 技術統括責任者として経営層との対話に悩んでいる人
  • 事業理解を深めて技術判断の質を向上させたいエンジニアリングマネージャー

Learning Outcome

  • 事業理解の実践手法:各アプローチの具体的な実施方法、得られる情報、注意点など
  • 技術戦略立案プロセス:事業理解を技術戦略に昇華させる思考プロセスと、経営層への説明責任を果たすフレームワーク
  • 組織展開の手法:個人の学習を組織の資産に変える取り組みなど、エンジニア全体の事業理解度向上の方法論
  • EMの視点転換:エンジニア視点から経営視点への思考の転換点と、その後の判断基準の変化の実体験
  • 失敗談と教訓:試行錯誤の過程で得た気づきと、もっとうまくできたであろう改善点の共有