本セッションでは、「どうすれば自分がいなくても組織が回るようになるのか」というある意味ものぐさな考え方が、組織を拡大して成長させるためにどのように有効に作用してきたのか、6年間の経験に基づいてご紹介いたします。
私は2019年に4名の内製化チームを立ち上げ、そこから商材化やさまざまな活動を経て現在はおよそ20名の内製組織(仮設)の代表を担っています。立ち上げ当初はやらなければいけないことが多く、私はプロダクトオーナーでありスクラムマスターでもあり、エンジニアでもありました。当然のようにその状態のままスケールできるはずもなく、人が増えても困難な働き方が続きました。
そこで私は負担を減らすために、自分のやってきたことを委譲できるようにメンバーを育成することにしました。それを繰り返していくうちに自分の時間が少しずつ生まれてきました。
興味深いことに、その時間によって私が発見したことは、さらなる組織の課題であり次にすべき新たなことでした。スペースが生まれることで今まで見えていなかった問題が見えるようになったということです。当然その課題解決に勤しむことになり、また忙しくなります。
この後は想像に難くないかもしれません。同じことの繰り返しです。現状の負担を減らすために今やっていることを委譲できるようにしてきました。その結果余裕=スペースが生まれます。つまりそれによってまた更なる課題が見えてきます。
単純に考えると、自分がいなくても組織が回るようになったとき、次はその時間をつかって組織を成長させます。そうするとまた自分がいないと回らなくなります。これが繰り返されることによって組織が成長します。この考え方の嬉しいことは、このサイクルにおいて動作の主体が自分である限り、内発的動機に従って意欲的に働ける側面があることです。
本論ではより具体的なエピソードを踏まえて詳細にお話しいたします。