コミュニティで駆動するエンジニアリング文化、エンジニアリング文化で広げるコミュニティ by 前川 博志

Engineering Management Conference Japan 2026
セッション(40分)

コミュニティで駆動するエンジニアリング文化、エンジニアリング文化で広げるコミュニティ

前川 博志

概要

私はダイキン工業で、現在ソフトウェア開発者コミュニティを運営しています。現在参加者は400人以上、そのうちの半分以上がアクティブユーザで、毎日のように開発手法や技術に関する議論や雑談が沸き起こっています。そのコミュニティの成長の変遷を通して、コミュニティがどのようにエンジニア文化を変えていけるのかについてお話をします。
はじまりは小さなAWSの質問会でした。そのとき、AWSに関する技術情報を取りまとめる立場にあったこともあり、開発文化を社内に広げていく機会だと感じて運営を引っ張っていくことに手を上げました。
これまで外部コミュニティを運営してきた経験も活かし、まずはコミュニティを活性化させエンジニアを集める取り組みを始めました。立ち上げとして大規模な社内カンファレンスを実施し、読書会・資格試験勉強会・技術相談会など参加ハードルを下げた取り組みで少しずつ人を巻き込み、まずはエンジニアリング文化を広げることに注力。
文化が広がった先には、これまで社内で積極的に交流できていなかった他事業所や他部署のメンバーとの出会いがありました。部内で独自のRAGシステムを構築する猛者、自作キーボードを楽しそうに布教するギーク、熱い思いで部門改革に取り組む若手リーダー、そういった社内の人たちを集めることで、想像しなかったような新しい取り組みに取り組むことになります。
そうやって技術を追い求めるメンバーが増えていく中、AWSという括りが枷となってきたこともあり、発足から2年後に、ダイキンの開発者全体のコミュニティ(D2 Lounge: Daikin Developers’ Lounge)として発展的解消をします。ちょうど同時期に沸き起こったAI駆動開発の波にも乗り、これまでリーチできていなかった組み込み分野のエンジニアにも現在積極的に和を広げています。
組み込みからクラウドに至る全てを見れるという大規模メーカーの強みを活かして、このコミュニティを軸にAIを始めとしたソフトウェア開発の変革を進めている、コミュニティのこれまでの歩みと現在地をお話します。

Learning Outcome

対象: 社内、特に大企業の中でエンジニアリング文化を変えたい、広げたいと考える人
得られるもの: 取り組む事例のヒント、コミュニティを育てて行くときの考え方、変革の種となる情報と想い