Engineering Management Conference Japan 2026
セッション(20分)

EMを機能させる仕組みを探して ─ マトリクス組織で見えた変化と現実

sanogemaru Genki Sano sanogemaru
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概要

私たちの開発組織では、目的別チーム構造のもとでEM(エンジニアリングマネージャー)を独自ロールとして運用していました。
EMは複数チームを束ねる立場として、もともと組織変更や配置計画にも深く関与していましたが、会社制度上の正式な「マネージャー」ではなかったため、評価や人事決定といった権限を十分に持てませんでした。

そのため、EMが責任を果たすには、制度上のマネージャーを兼任する必要があり、兼任による追加業務が負荷となって EMを増やしにくい構造 になっていました。

この問題を解消するために導入したのが、 職能別マトリクス組織 です。
職能軸を明確に持たせることで、EMを会社制度上のマネージャー枠組みに接続し、形式的な兼任を不要にしました。
現在は、四半期ほど運用を経て、 新たにEMを追加任命しやすい体制 が動き始めています。

本セッションでは、

  • 制度の外にあったEMロールを、制度の内側へ位置づけ直すまでのプロセス
  • その中で整理した権限設計・責任範囲・評価体制の具体例
  • 制度変更後の運用で見えてきた変化と、新たに発生した課題

を具体的に共有します。

EMが現場と制度のあいだで、どのように動けば組織を前に進められるのか、今も模索を続けている実践をお話しします。

Learning Outcome

対象:

  • 複数チームを見ているEM、または制度設計・組織設計にも関わる立場のマネージャー

得られるもの:

  • EMの役割を制度上の位置づけに接続するための現実的ステップを学べる
  • EMを拡張可能にする構造設計と運用上の工夫を理解できる
  • マトリクス化による権限整理と現場運用のリアルな課題を学べる