火を起こすマネジメント:開発チームのAIとAgile推進をコミュニティで駆動することを目指したマネジメントの軌跡 by Takashi Kunimoto

Engineering Management Conference Japan 2026
セッション(20分)

火を起こすマネジメント:開発チームのAIとAgile推進をコミュニティで駆動することを目指したマネジメントの軌跡

takacyk Takashi Kunimoto takacyk
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開発組織規模は年々縮小。しかし、事業は成長させねばならない——そんな逆風の中ではトップダウンの号令も必要ですが、私はエンジニアリングマネージャーとして、「AI活用」と「Agile推進」という2つのテーマを軸に、現場が自ら動き出す“熱の源”を見つけようと考えました。その答えが「コミュニティ」でした。コミュニティとは、制度でもプロジェクトでもなく、同じ関心や目的に共感した人たちが自発的につながり、学び合い、動き出す場です。AIとAgile、それぞれに情熱を持つメンバーを核に組織内コミュニティを立ち上げました。

最初は小さな活動でしたが、徐々に熱量は大きくなり、AIコミュニティは導入支援・知見の集積・啓蒙を担い、実践者が実践者を生む循環を形成。すべてのロールにAIの実践が広がり、開発生産性の底上げに寄与しました。
Agileコミュニティは定期的な対話をエンジンにチームを越えた対話や実践が生まれ、ビジネスと共有するプロダクトバックログが作られ、小さく実験して学ぶ事例が増え、限られたリソースでも「打席を増やし、打率を上げる」仕組みの定着を目指しました。

この活動を通じて気づいたのは、マネジメントが直接「推進」するよりも、熱を持った人たちが集まり、火を絶やさずに燃やし続ける場を整えることの方が、ずっと大きな変化を生むということです。
火が灯った場所には人が集まり、共感が伝わり、学びが広がる。
その熱が隣のチームや別の領域に伝わり、やがて組織全体が少しずつ自己組織的に動き出す――そんな現象を目の当たりにしました。
この1年を振り返りながら、
「制約がある中で、どうやって火を起こす場所を見つけ、育てたのか」
「コミュニティを通して組織に自己組織化の流れを生み出すために何が必要だったのか」
を、具体的な経験をもとにお話しします。