今こそ知るべき耐量子計算機暗号(PQC)入門:NIST標準化の概要から主要言語でのサポート状況まで by ASANO Masaki

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今こそ知るべき耐量子計算機暗号(PQC)入門:NIST標準化の概要から主要言語でのサポート状況まで

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▪️テーマ

耐量子計算機暗号 (PQC)、暗号技術、セキュリティ、NIST標準化 (FIPS 203, 204, 205)

▪️想定する参加者層(前提知識)

前提知識

  • 特定のプログラミング言語に関する知識は不要です
  • 高校程度の数学の知識があるといいが、必須ではないです
  • 公開鍵暗号方式(RSAなど)の基本的な概念を理解しているといいが、必須ではないです

想定する参加層

  • Webアプリケーションやシステムのセキュリティに関わるエンジニア
  • 暗号技術の最新トレンドや量子コンピュータの動向に興味がある方
  • 将来の標準技術(PQC)の仕組みや実装状況を早めにキャッチアップしたい方

▪️トーク概要

耐量子計算機暗号(Post-Quantum Cryptography: PQC)は、将来登場が予測される高性能な量子コンピュータによる解読の脅威に耐え得る、新しい暗号技術の総称です。
PQCの基盤となる数学的問題は一つではなく、様々なアプローチが研究・開発されています。

特に大きな動きとして、2024年8月、NIST(米国国立標準技術研究所)は2016年から進めてきたPQC標準化プロジェクトの成果として、FIPS 203、204、205という3つの標準を正式に発表しました。
これにより、PQCは研究段階から「実装段階」へと大きくシフトし始めています。

本トークでは、まず「なぜ今PQCが必要なのか?」という背景や、NISTによる標準化の最新動向といった概要を解説します。
その上で、標準化されたPQCがどのような仕組みで安全性を担保しているのか、代表的な方式(例:格子ベース暗号など)の技術的な仕組みを分かりやすく紐解きます。
最後に、私たちエンジニアが最も関心のある、主要なプログラミング言語(Java, Go, Rust など)におけるPQCライブラリのサポート状況を紹介します。

想定しているアジェンダ

  • 耐量子計算機暗号入門
    • なぜ耐量子計算機暗号が必要なのか
    • NIST の耐量子計算機暗号の標準化について(FIPS 203、FIPS 204、FIPS 205)
    • 主要な耐量子計算機暗号の紹介(格子暗号、同種写像暗号、符号ベース暗号、多変数多項式暗号、暗号学的ハッシュ関数)
  • 各プログラミング言語に関するサポート状況
    • Java (Java 24での機能提供)
    • Go (1.24での機能提供)
    • Rust (Rust Crypto での提供) など

このトークで得られること (Takeaway)

  • 量子コンピュータがなぜ現在の暗号(RSA, ECC)に脅威となるのかを理解できる
  • NISTによって標準化されたPQC(FIPS 203, 204, 205)の概要と重要性を学べる
  • 代表的なPQCアルゴリズムの基礎的な仕組みを把握できる
  • 主要言語(Java, Go, Rust等)でのPQC対応ライブラリの現状を知ることができる