【テーマ】
サーバーサイドレンダリング(SSR)における「クロスリクエスト状態汚染」の危険性と、その根本原因となる設計上の問題の解説。モダンWebフレームワーク「Astro」を例に、リクエストごとに状態を安全に分離するための具体的な設計パターンと実践的対策。
【想定する参加者層(前提知識)】
Webアプリケーションの開発経験がある方 (特定のフレームワーク(Astroなど)の知識は必須ではありません。)
【トーク概要】
「ローカル開発では完璧に動くのに、本番環境で時々データがおかしくなる…」 そんな経験はありませんか?その原因、もしかしたらサーバーサイドでの「状態管理」の実装にあるかもしれません。
サーバーサイドレンダリング(SSR)のような、サーバー上でリクエストごとに処理を行うアーキテクチャは、Webのパフォーマンスを向上させる強力な手法です。しかし、クライアントサイドの感覚で安易に状態管理ライブラリを導入すると、実は時限爆弾を抱えている可能性があります。
同時リクエストが多発するサーバー環境では、あるユーザーのために用意された状態が、競合によって別のユーザーに漏洩してしまう、「クロスリクエスト状態汚染」という深刻な問題を引き起こす可能性があるのです。これは単なる表示の不具合に留まらず、個人情報漏洩に直結しうる、極めて危険なセキュリティリスクです。
このセッションでは、多くのWeb開発者が見落としがちな、このサーバーサイド特有の落とし穴を深掘りします。 なぜこの問題が起こるのか?その根本原因は、サーバー上でただ一つの共有データ置き場を、複数のリクエストで使い回してしまうという、設計上の問題にあります。 セッションでは、モダンなWebフレームワーク「Astro」と状態管理ライブラリ「Nanostores」を具体的なケーススタディとして取り上げ、どのようなコードが「地雷」となり、公式ドキュメントがなぜサーバーサイドでの安易な利用に警鐘を鳴らしているのかを、実際のコードを交えて解説します。