型付きアクターモデルがもたらす分散シミュレーションの未来 by 鳥越 貴智

関数型まつり2025
公募セッション25分

型付きアクターモデルがもたらす分散シミュレーションの未来

鳥越 貴智
2

対象とする聴衆のレベル

  • Beginner: 分野の前提知識を必要としない

セッションのテーマ

  • 導入事例
  • ライブラリやフレームワーク
  • 入門

セッションの概要

並列分散処理は高いスケーラビリティを求められる一方で、タスク分割・通信制御・データ整合性など管理するべきことが多く、とにかく開発が複雑になりがちな領域です。
そういった課題に対し、アクターモデルはソフトウェアを「アクター」という小さなメッセージ駆動単位に分割することで、スケーラブルかつ扱いやすい計算モデルを提供します。
さらにアクター間のメッセージに静的な型を付けることで、不正な通信をコンパイル時に防ぐことができます。

トヨタ自動車では、Scalaの型付きアクターモデルライブラリPekkoを基盤として、人流シミュレータ・交通シミュレータ・ドライビングシミュレータ・VRなどをリアルタイムに連携する分散メッセージングフレームワークArkTwinをOSSとして開発しています。
ArkTwinでは大量の時空情報を低遅延で処理する必要があり、型付きアクターモデルの恩恵なしには実現できませんでした。

本セッションでは、ArkTwinの開発を通じて得られた知見をもとに型付きアクターモデルの利点と実装パターンについて紹介し、それらがもたらす分散シミュレーションの未来像についてお話します。