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iOSDC 2020に参加・登壇した感想を書きます

2020/09/19〜09/21で開催されたiOSDC 2020に参加しました。

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↑これが喋ったやつです。

前半は淡々と感想を書きますが、後半ちょっとポエミーになります。

リモート開催ぶっちゃけどうだったか

今年はご時世柄もあって、リモート開催でした。運営の方の柔軟な対応もあって、リモートだからといって支障を感じることはなく、むしろピンチをチャンスに的な、参加者をワクワクさせる仕掛けがたくさんあってよかったです。

登壇者の立場としては、収録の自動化がすごいと思いました。当初は「あなたはx月x日x時に収録なので、予定開けといてください」みたいな連絡が来るのをイメージしてたのですが、もっとハイテクでした。スロットを予約すると自動でZoomのURLが配布されて、そのZoomで収録して、納得いかなかったらまた予約をとると上書きされるので、何度でも撮り直しOKという素敵な仕様でした。

現地に行かなくていい、というのは体の負担が楽でした。ただその分お祭り感は失われてしまうので、メリデメありますね。この辺はリモートワークの議論と同じかもしれません。

登壇前の心理状態

事前収録した動画をニコ生で流して、放送後はDiscordでAsk the speakerという流れなので、当日僕がやることはリアクションを観察するぐらいだったんですが、めちゃくちゃ緊張感ありました。緊張する必要なんて何もないんですが、なんでしょうね。生プレゼンは「上手くプレゼンできるかな……」という不安ですけど、放送は「みんな見てくれるかな……」「反応どうかな……」という不安があって、結果まともな精神状態ではいられませんでした。

放送がはじまってニコ生でコメントが流れるまで、本気で視聴者ゼロを心配していました。プロポーザル送る段階では、「このテーマはニッチなところを突いてるから、一定の需要があるはず」という計算があったんですが、いざ放送直前になると「こんなテーマ誰が興味あるんだよ……絶対誰も来ねえよ……」みたいな気持ちになりました。

いざはじまってみたらコメントたくさんつくし、嬉しいリアクションがたくさんあって、「みんなあったけえ……」ってなりました。

自己評価

自分のプレゼンは全体的には成功だったと思いますが、いざ放送を見てみると、細かい改善点は感じました。

・テンションが低い
(これは収録なので、カンファレンス当日の熱気をもらえなかったせいはかなりある)

・「えー」とか余計な間とかが多い
(自分では全く意識してませんでしたが、いざ客観的に見てみると結構「えー」って言っちゃってるなと思いました)

・プロポーザルのとき「Apple pencil」って書いちゃった
(Pencilが正しいっぽい)

iOSDC 2019で経験した劣等感

実は去年のiOSDCには苦い思い出があります。と言っても、何か嫌なことをされたのではありません。

2019年、僕はキャリアチェンジして、iOSエンジニアになりました。7月に転職して、9月に会社のiOSチームの皆でぞろぞろ早稲田大学に行きました。

当時の僕はiOSエンジニアと名乗るのも恥ずかしいぐらいの初心者でした。RPGで言うなら、ある職業である程度レベルをあげた段階で、職業を変えて、レベル1に戻った状態。登壇している人々はそれはもうレベルが高く見えました。

「俺はこの人たちに一生追いつけないんじゃないか……?」

iOSDCの多くの参加者は、既に高いスキルを持っているのに、更に貪欲にまだ知らない知識をキャッチアップし続けているような人たちでした。学生時代からバリバリプログラミングやっていて、新卒でソフトウェアエンジニアになって、二十代後半でもうちょっとした存在になってる人が、一気に視界に入ってきました。

新しい職場は自分の思い描いていたような仕事を与えてくれて、新しいMacBook Proをカタカタしながら、充実した日々を過ごしていたんですが、「すごい人たち」と自分を比べてしまって、ものすごい焦燥感に駆られた訳ですね。

やりたいことはやれる環境を得たものの、自分のスキルがそれに追いついていない苦しみというのが去年はだいぶありました。前の会社だとそこそこ仕事できるようになって、チームリーダーとして人に指示出すようなポディションにいました。そこから一気にレベル1のiOSエンジニアになったという実感がグワーと襲ってきたのが、僕にとってのiOSDC 2019でした。

自分の価値を発揮する

焦燥感を抱いたところで、突然スーパーサイヤ人にはなれません。一週間ぐらい焦燥感・劣等感は自分の中に残りましたが、結局忘れることにしました。今までの人生経験上、ネガティブなモチベーションに駆られて、追い詰められるように努力しても、結果的にあまり良くないというのがわかっていたからです。

ネガティブな感情は忘れましたが、「一年後にiOSDCに登壇できるぐらいまでスキルをあげる」という目標は残しておきました。

そして日々やれることをしっかりやることにしました。積読にしてた難しい技術書にトライしたり、会社で割り振られたタスクに全力で取り組んだり。

ガリガリやってる中で、iOSDCで登壇していた人が発信している情報に何度も助けられました。

競争ではなく協働

僕の中の一つの結論は、「すごい人たち」に必ずしも追いつく必要はない、ということです。すごい人たちは敵ではなくて、ソフトウェアの複雑性という敵と戦う仲間なのだと思うようにしました。

そもそも僕がソフトウェアエンジニアにジョブチェンジしたのは、「ソフトウェアを創る」というところが目的でした。もちろんそのためには技術に詳しくなる必要があるのですが、その技術を使って何か役に立つものを提供する、というのが僕にとってのモチベーションです。

そもそも考えてみたら、どんなに勉強しても、自分よりも詳しい人や自分よりセンスのある人というのは必ず存在します。そういう人たちを全部倒して、俺が一番になるんだ、というジャンプ漫画的な世界観と、実際の現実世界は違うと思います。

カンファレンスに登壇してるすごい人たちの頭脳を借りることで、自分だけではたどりつけなかったレベルまでいけるし、自分も同じように何かしら有意義なものをアウトプットすれば、勝った負けたじゃなくて、なんかいい感じのサイクルがまわるようになるなと思いました。

孤独な戦いを共有する

iOSDC 2019の参加から、2020/5に個人開発でアプリ公開して、2020/6にそのネタでプロポーザルを送りました。採択されるかは五分五分かなと思っていましたが、運良く採択されて、そのときは自分がiOSエンジニアとして認められたような気がして嬉しかったです。

今年3月から仕事がフルリモートになったので特に感じるのですが、開発作業というのは孤独です。元々性格が社交的ではないので、孤独には人と比べて耐性がある人間だと思っていましたが、それでも強い孤独感がグワーって来るときがあります。

それはもうものすごく孤独な戦いです。

その戦いを、同じように戦っている人たちと共有することで、新しい知見が得られたり、過去の苦労が昇華されたりします。

iOSDCのオープニングで、「コミュニケーションの場だよ」というアナウンスがありますが、今年はまさにそういう場であることを感じました。

カンファレンスの楽しみ方がわかった気がする

あまりネガティブなことばかり書きたくないんですが、正直去年のiOSDCは劣等感で楽しめていませんでした。今年は(自分の登壇が終わったら)純粋に楽しめるようになってきました。

一番大きいのは、人を知ったということですかね。この一年でTwitterやらQiitaやらで色んな現役iOSエンジニアの方を知って、
「あっTwitterでよく見る××ー×さんが喋ってる!」
「Qiitaでよくお世話になってるアイコンの人だ!」
みたいな楽しみ方ができるようになりました。

内容についても、去年は隅から隅まで理解しようとして、頭をフル回転させてましたが、今年はそれをやめました。もっと「あーなるほどそういうことね。ベジェ曲線ねハイハイ。。。わかるわかる。。。」くらいのノリで見ることにしました。

もちろん純粋に技術力の高みを目指すんなら、ダメな態度なんでしょうけど、正直ある程度難易度高いコードって自分で手動かして追ってみないと理解できなくて、カンファレンスのプレゼンの最中にそんなことしてたら話についていけないので、その場は雰囲気で理解して、とりあえず話に乗っておいて、後から必要があったら手動かしてちゃんと理解する、みたいなスタンスで楽しむことにしました。

僕も自分でスライド作りながら、10行以上のコードを貼ったスライドを説明したとき、「これ絶対口頭の説明じゃわからんよなあ」と思いながら話しました。その場ではエッセンスだけ伝えて、必要な人は後からスライド見て、細かく追えるようにできれば十分かと感じました。

まとめ

そんなわけで、いいiOSDC 2020でした! 運営の方々、ありがとうございました。

(了)

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